新型コロナウイルス

英国の超過死亡を巡る論争

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デマだの嘘だのという人間は何処まで行っても言い続けるでしょうから、放っておけば良いわけです。問題は自分がどう思うのかということです。データを捏造して国民を騙すやり方に気がつけるかどうか。現代は嘘と捏造情報の中で何を選択するかにかかっています。この選択の結果は命に関わるものです。

小島勢二先生:超過死亡の原因をめぐる英国での論争

わが国でも、2022年の超過死亡の激増が話題になっているが、ワクチン接種が進んだ多くの国で、日本と同様に、2022年後半から超過死亡の激増が観察されている。英国でも同様で、2022年の後半に観察された超過死亡の原因を論じた記事がいくつか報道されている。

BBCは2023年1月10日のニュースで、2022年の英国における超過死亡は過去50年間で最悪であったが、その原因としてワクチンの関与はないと論じている。ワクチンが超過死亡の原因ならば、接種者の方が未接種者よりも死亡率が高くなければいけないのに、2022年6月までの英国統計局からの発表では、ワクチンの接種者は未接種者と比較して死亡率が低いことをその理由としている。

ところが、1月27日に、Queen Mary 大学のNorman Fenton名誉教授が統計局の発表した数字に疑惑があることを指摘し、統計局もそれを認めたことから流れが変わった。1月30日には、UnHerdというウェブサイトに King’s College LondonのToby Green教授は以下のような記事を投稿した

昨年の中頃から、コロナ感染による死亡は減少しているにもかかわらず超過死亡が増加していることに、いくつかの国の研究者が気づき始めている。とりわけ気になるのは、若年者の死亡が増加していることである。一部の研究者の忠告にもかかわらず、政府や大手メデイアは、これらの忠告を無視してきた。しかし、2022年後半を通じて、超過死亡は更に増え続けており、2023年に入ってもこの傾向が続いていることから、いよいよ無視はできなっている。

このような流れの中で、国民のBBCへの抗議行動が激しくなり、抗議集会の開催やBBCビルにはワクチン接種被害者の顔写真が大量に貼られている。”SHAME ON YOU”とは日本語に訳すと “恥を知れ“という意味である。

写真1 BBCに対する抗議行動

BBCは超過死亡の原因としてワクチンの関与がない理由として、2022年6月までの英国統計局からの発表ではワクチン未接種者は接種者と比較して死亡率が高いことをあげている。

しかし、実際は、2022年1月〜5月の統計で、未接種者の死亡率は1〜3回のワクチン接種者と比較して、同等か低いことが判明していた。

図1 英国の18歳〜39歳の成人におけるワクチン接種回数別の死亡率の比較
※ 死亡はすべての死亡原因からコロナ感染による死亡を除いている。

さらに、Fenton名誉教授の指摘を受けて、修正後に発表したデータでは、2022年は年間を通して未接種者が接種者と比較して死亡率が低いことが確認された。

図2では7月までは3回接種者は未接種者と比較して死亡率は高かったのが、8月以降は3回接種者の死亡率が低下し、未接種者との差が見られなくなっている。この理由として、英国ではこの時期から4、5回目の追加接種が推奨され、3回接種者のグループにワクチン接種からの期間が短い4、5回接種者が含まれていることが考えられた。4、5回目追加接種の効果も早晩消失することが予想される。

図2 英国の全年齢層におけるワクチン接種回数別の死亡率の比較
※死亡はすべての死亡原因からコロナ感染による死亡を除いている。

4月13日には、The people’s voiceなどの反ワクチンの立場をとるメデイアが、”BBC News Finally Admits Covid Vaccines Caused Excess Deaths in in 2022”のタイトルで上の図1と図2を掲載した記事を報道した。

その記事の中で、「BBCは国民に嘘をついたことによって、2022年の超過死亡にワクチンの関与があるか否かの論争に白黒をつけることになった」と述べている。それがタイトルの” ”BBC News Finally Admits Covid Vaccines Caused Excess Deaths in in 2022”で、BBCが前言を撤回したという報道は確認できなかった。

すなわち、BBCは1月10日の報道で“ワクチンが超過死亡の原因であるなら接種者の方が未接種者よりも死亡率が高くなければならないと述べているが、BBCが接種者は未接種者より死亡率が低いと嘘をついたことによって、ワクチン接種が超過死亡の原因であることを認めざるをえないことになったという主張である。

英国の超過死亡の原因をめぐる論争はそのまま日本にも当てはまるが、大きく違うのは、わが国ではワクチン接種回数別の死亡率のデータが開示されていないことである。

京都大学の福島雅典名誉教授が、厚労省に対して、ワクチン未接種者、接種者におけるコロナ感染者の重症化率、死亡率に関する行政文書の開示請求を行なったが、拒否されている。英国の例でわかるように、ワクチン接種回数別の死亡率は、超過死亡の原因を考えるにあたって最も重要なデータである。

アゴラの誌上を超過死亡の原因をめぐる論争が賑わせているが、超過死亡に関する国民の関心も高く、早急に接種回数別の死亡率のデータの開示を行うべきである。

超過死亡の原因にワクチン接種の関与があるかについては、日本政府は明確に否定しているが、その根拠は破綻している

国立感染研は超過死亡の原因についての見解を改めて示すべきだ
昨年来、超過死亡が話題になっている。9月16日に厚生労働省から、2021年の人口動態統計の確定数が公表された。昨年は、前年を67,101人上回る死亡数であった。東日本大震災のあった2011年でさえ、前年を上回った死亡数が56,054人である…

最近も松野博一官房長官はワクチン接種が超過死亡に関連するかいう質問に対して、「国内外の研究結果などを踏まえながら審議会で議論が行われている」と答え、明言を避けている。

超過死亡とワクチンとの関連をめぐる議論は、超過死亡がわが国で最初に観察された2021年から続いているが、この間にわが国では20万人を超える超過死亡が発生し、その増え方も加速している。審議会での審議内容の公開を含め、一刻も早い対応が望まれる。

 

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