判決文では、職場トイレの利用可否が問題となったもので、一般の公共施設利用の判断をしたものでないと言いつつ、それについいて改めて議論されるべきとしている。092191_hanrei.pdf (courts.go.jp)
現時点では、トランスジェンダー本人の要望・意向と他の職員の意見・反応の双方をよく聴取した上で、職場の環境維持、安全管理の観点等から最適な解決策を探っていくという以外にない。今後この種の事例は社会の様々な場面で生起していくことが予想され、それにつれて頭を悩ませる職場や施設の管理者、人事担当者、経営者も増えていくものと思われる。
既に民間企業の一部に事例があるようであるが、今後事案の更なる積み重ねを通じて、標準的な扱いや指針、基準が形作られていくことに期待したい。併せて、何よりこの種の問題は、多くの人々の理解抜きには落ち着きの良い解決は望めないのであり、社会全体で議論され、コンセンサスが形成されていくことが望まれる。
なお、本判決は、トイレを含め、不特定又は多数の人々の使用が想定されている公共施設の使用の在り方について触れるものではない。この問題は、機会を改めて議論されるべきである。
(裁判長裁判官 今崎幸彦 裁判官 宇賀克也 裁判官 林 道晴 裁判官 長嶺安政 裁判官 渡 惠理子)
※ 普通に考えるなら最高裁の判決に習うでしょうから、これからは公共施設でLGBTの女性トイレ使用の容認が行われ、それに伴って民間施設でも同様の対応が行われるでしょう。つまり、外見上男性が女性トイレや女性更衣室に入ったからといって犯罪扱いが出来ず、訴えた人には担当者が理解を求めるケースが増加する。訴訟になった場合も罪に問うことは出来ず、最高裁判例があるために社会は容認の方向へ向かうでしょう。誰でも出入り自由な場所となったトイレや更衣室、浴場は、盗撮や性犯罪の温床となる恐れがあります。
「マイナ保険証」賛成?反対? マイナンバーカードの利用拡大、根強い不安感 世論調査を分析すると
マイナンバーカードを使った証明書交付サービスでの誤交付や、マイナンバーカードと健康保険証を一体化させる「マイナ保険証」で別人の情報がひもづけられた誤りが明らかになるなど、マイナンバーをめぐるトラブルが相次いでいます。朝日新聞社が6月17、18の両日に実施した全国世論調査(電話)では、マイナンバーをめぐる質問を3問準備しました。すると、有権者の根強い不安感があらわになるとともに、世代間や性別での受け止めに違いがあることが浮かび上がりました。(朝日新聞記者・大崎浩義)
男性五分五分、女性は反対
マイナンバーをめぐるトラブルが相次ぐ中で、政府は6月9日に、マイナンバーカードの推進策などを盛り込んだデジタル施策に関する「重点計画」を閣議決定しました。
そうしたなか、健康保険証を来年秋に原則廃止し、マイナ保険証として、マイナンバーカードと一体化することについて賛否を尋ねると、全体の数字は「賛成」が38%なのに対し、「反対」が56%と上回りました。
<健康保険証との一体化の賛否>
Q あなたは、現在の健康保険証を来年秋に原則廃止し、マイナ保険証として、マイナンバーカードと一体化することに賛成ですか。反対ですか。
賛成/反対
全体=38%/56%
男性=47%/47%
女性=30%/64%
18~29歳=58%/36%
30代=43%/55%
40代=43%/50%
50代=39%/56%
60代=27%/69%
70歳以上=28%/63%
*「その他・答えない」は省略。コンピューターで無作為に電話番号を作成し、固定電話と携帯電話に調査員が電話をかけるRDD方式で6月17、18両日に全国の有権者を対象に調査。固定は有権者がいると判明した864世帯から414人(回答率48%)、携帯は有権者につながった1672件のうち685人(同41%)、計1099人の回答を得た。
一方、男女別でみると、男性は、「賛成」47%、「反対」47%と並びました。女性は、「賛成」30%、「反対」64%と差がありました。
年代別でみると、「賛成」が最も高いのは、18~29歳の58%でした。30代と40代は各43%、50代は39%。最も低いのは、60代の27%でした。
70歳以上は28%で、世代が上がるほど、「賛成」が低くなる傾向がみられました。逆に「反対」は、世代が上がるほど、高くなる向きがみられました。
健康保険証をよく使う人ほど一体化に反対?
厚生労働省の2020年患者調査によれば、特定の調査日について医療機関を利用した推計患者数は、入院と外来を合わせると、女性が474万人で、男性の361万人を上回っています。
年代別にみると、20代34万人、 30代48万人、40代72万人、50代87万人、60代128万人、70歳以上377万人で、年代が上がるにつれて増えていきます。
<医療機関の推計患者数>
男性=361万人
女性=474万人
19歳以下=87万人
20代=34万人
30代=48万人
40代=72万人
60代=128万人
70歳以上=377万人
*厚生労働省の2020年患者調査の数値(各医療機関で特定の調査日における患者数の推計値)を年代別に足し合わせ、四捨五入した。
こうした状況は、健康保険証の利用機会を示しているとも考えられます。
6月の世論調査とあわせてみると、健康保険証を利用する機会が多いとみられる層と、一体化反対の割合が多い層が、重なっているかのようにみえます。
もちろん、調査結果だけでは因果関係は分かりませんが、その理由が気になるところです。
マイナンバーの利用拡大、不安は根強く
政府は健康保険証だけでなく、運転免許証や母子健康手帳などもマイナンバーカードとの一体化を進める計画を示しています。
そこで、マイナンバーの利用範囲の拡大に対して、期待と不安のどちらが大きいかについても聞きました。
結果、全体は「期待」が23%で、「不安」は73%と大差がつきました。
男女別でみると、男性は「期待」が33%に対し、「不安」は64%、女性は「期待」が13%に対し、「不安」は82%。男女とも、「不安」のほうが高い割合でしたが、不安感の強さは、男性よりも女性のほうが顕著に表れていました。
同様に年代別にみた場合、「期待」は、18~29歳が最も高い39%で、30代が32%、40代が24%、50代が26%、60代が14%、70歳以上が13%と、下がっていく傾向でした。
一方で、「不安」は、18~29歳が55%で最も低く、30代が64%、40代が75%、50代が73%、60代が84%、70歳以上が80%と上がっていく様子が分かります。男女差、年代差は健康保険証との一体化の賛否と同様の傾向でした。
<利用範囲拡大の期待と不安>
Q あなたは、政府が進めるマイナンバーの利用範囲の拡大について、期待のほうが大きいですか。不安のほうが大きいですか。
期待のほうが大きい/不安のほうが大きい
全体=23%/73%
男性=33%/64%
女性=13%/82%
18~29歳=39%/55%
30代=32%/64%
40代=24%/75%
50代=26%/73%
60代=14%/84%
70歳以上=13%/80%
*「その他・答えない」は省略。
政府のトラブル対応に厳しい視線
次々と明らかになったマイナンバーをめぐるトラブル。これまでの政府の対応は適切だったのかどうか。これも世論調査で尋ねました。
全体は、「適切だった」が19%、「適切ではなかった」が72%と、厳しい見方をしているようです。前出のふたつの質問と同じような男女差、年代差がはっきりと表れました。
<政府のトラブル対応について>
Q マイナンバーをめぐり、トラブルが相次いでいます。あなたは、このトラブルをめぐる、これまでの政府の対応は適切だったと思いますか。適切ではなかったと思いますか。
適切だった/適切ではなかった
全体=19%/72%
男性=24%/68%
女性=14%/76%
18~29歳=33%/53%
30代=26%/67%
40代=22%/71%
50代=20%/73%
60代=12%/83%
70歳以上=10%/79%
*「その他・答えない」は省略。
調査後の6月21日、岸田文雄首相は記者会見で、相次ぐトラブルについて「重く受け止めている」と陳謝。来年秋の健康保険証廃止については「国民の不安の払拭(ふっしょく)が大前提」としつつ、スケジュール通りに進める考えを示しました。
政府はトラブルを受けた「総点検」を始め、まずは中間報告を8月上旬にまとめるとしています。調査で明らかになった不安感を打ち消す内容となるのでしょうか。
これからも調査を通じて注意深く見つめていきたいと思います。
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