【国会質疑】厚労省ワクチンデータ改ざん問題【分かったこと分からなかったこと】森田洋之
厚生労働省は5月11日付のアドバイザリーボードで、これまでずっと発表していた「ワクチン効果」が全て水増しデータだったことを公式に認めました。
すでに8割の国民が、厚労省からのデータを信じ副作用のリスクを負ってまでワクチンを打ったわけで、この「有効性のデータ水増し」公表は本当に大変な事件です。
今回は5月20日に国会で行われた「ワクチンデータ改ざん問題」についての質疑の詳細とそこで分かったこと、分からなかったことをレポートします。
新型コロナワクチン打っても“未接種扱い”にしていた…厚労省「理由は不明だが意図的なものではない」
厚生労働省は10万人あたりの新規陽性者数を「新型コロナワクチンを打ったか打っていないか」で分けて公表していますが、その中でワクチンを打っている人の一部が“未接種者扱い”になっていたことがわかりました。 【写真を見る】新型コロナワクチン打っても“未接種扱い”にしていた…厚労省「理由は不明だが意図的なものではない」 専門家の指摘を受けた厚労省は、突如データを修正。その結果、ワクチンを打っていない人の新規陽性者数が大幅に激減しました。この「結果」が示すこととは・・・?
「あるデータ」の扱いがおかしいと…
名古屋大学の小島勢二名誉教授は、新型コロナワクチンに関する「あるデータ」の扱いがおかしいと、厚労省に指摘しました。 (名古屋大学・小島勢二名誉教授) 「海外の報告を見ると、オミクロン株にはワクチンの予防効果がかなり減ってしまったという話が1月の時点であった。ところが厚労省が出しているデータを見ると、(予防効果が)すごくいいんですね。海外は(予防効果が)20%になったというのに、日本では最初の治験のデータと同じで、まだ90%あった。これはおかしいな、日本人は特別かなと」
ワクチンを接種した方が感染しにくい?
厚生労働省は、10万人あたりの新規陽性者数を「ワクチンを打ったか、打たないか」で分けて公表しています。 打っていない人を赤、2回打った人を青でグラフにすると、打っていない人の方が新規陽性者数が多いという結果に。 このグラフからは、「ワクチンを打った方が感染しにくい」と読み取れますが・・・、 2022年1月以降主流になったオミクロン株では、「ワクチンの感染予防効果が低い」という報告が世界中で増えていました。 ところが、厚労省の数値では、4月に入ってもワクチンを接種した方が感染しにくいことになっています。
厚労省に指摘すると「正反対のグラフ」に“修正”
小島名誉教授が国会議員を通じて、このことを厚労省に指摘すると… (名古屋大学・小島勢二名誉教授) 「4月11日からは(未接種者と2回目接種済みでは)感染予防効果が変わらないという結果に(修正された)」 厚労省が突如、データを修正。 ワクチンを打っていない新規陽性者数が大幅に減り、それまでとは正反対ともいえるグラフに変わったのです。 ↓厚労省がデータを修正すると なぜ、このような「正反対」のグラフに変わったのでしょうか?
「未記入」を「未接種」にしていた
新型コロナウイルスで陽性者を発見した医師は、そのデータを厚労省に送る決まりになっています。 この時、ワクチン接種の日付が「未記入」だった場合、厚労省はなぜか全て「未接種」に分類していたのです。 では、どういった場合にワクチン接種歴が「未記入」になるのでしょうか? 発熱外来やワクチン接種に力を入れてきた名古屋のクリニックに尋ねると。 (細川外科クリニック・細川秀一院長) 「(陽性者に)必ず “あなたはワクチン打っているの?打っていないの?”と聞く。すると、“はい打ちました”もしくは“私は一度も打ったことありません”と。その次は“いつ打ったの?”と必ず聞くんですけど、“いつだったっけ?”の返事が8~9割」
接種歴「有」に〇をしても「未接種」
実際に厚労省に送る陽性者のデータ入力用紙を見せてもらいました。 ワクチンを打っていて「有」に〇をした人でも、いつ打ったかわからなければ、接種歴が「未記入」もしくは「不明」になります。 こうした人たちは、厚労省によって未接種扱いになっていました。
「未接種」から 「接種歴不明」に変更
指摘後、厚労省は接種歴が未記入の場合、それまでの「未接種」ではなく「接種歴不明」に変更。 この問題については、参議院の厚生労働委員会でも取り上げられ、後藤茂之厚生労働大臣は。 (後藤茂之厚労大臣) 「ワクチン接種歴が未記入の方について、厚生労働省が未接種に計上し、感染研が接種歴不明に計上していたと。それを厚生労働省の資料においても国立感染症研究所と同様に、接種歴不明として取り扱うことといたしました。この接種歴不明をどういうふうに扱っていくのかによって、データの読み方が変わるというご指摘、ちょっと詳しい内容までは私も捕捉しておりません」 また、厚労省の戦略班は、CBCテレビの取材に対し、「未接種に分類していた理由は不明だが意図的なものではない。この調査はワクチンを打っても感染するいわゆる“ブレイクスルー感染”の実態を調べるためのもの」と回答しました。
なぜワクチンを打っても打たなくても結果が同じに?
ワクチンを打っていても、10万人あたりの新規陽性者の数が未接種者とそれほど変わらなくなったことについて、小島名誉教授は…。 (名古屋大学・小島勢二名誉教授) 「例えば社会行動。ワクチンを打っていない人は気をつけてなかなか感染の機会が少ないけど、(ワクチンを打った人は)打ったからいいわと感染の機会が増えるかもしれない。一番心配なのは、ヨーロッパの監督庁から出た話で、ワクチンを何回も打つとかえって免疫の力が落ちてしまうという勧告も出ているんですね。だからこれは、そういうことを意味しているかもしれない」 新型コロナのワクチン接種が今後も続けられる中、国民が打つか打たないかを判断するためにも、国は正しい情報を公表する必要があります。
新型コロナ対策の「大誤解」を解く~なくならないウイルスとどう付き合うか
国立病院機構仙台医療センターの西村秀一ウイルスセンター長に聞く
国立病院機構仙台医療センターの西村秀一ウイルスセンター長は「現在取られていたり、メディアで繰り返されたりしている対策は的外れなことが多い」と指摘します。本当に効果的な対策とは何なのか。6月23日に『もうだまされない 新型コロナの大誤解』(幻冬舎)を出版された西村先生に聞きました。
様々な弊害を生むトンチンカンな対策
確かに新型コロナはやっかいな病気です。人体に悪影響を及ぼすウイルスによる感染症を怖がることはもちろん必要です。ただ、新型コロナウイルスは呼吸器系のウイルスだという大前提を欠いている対策があまりにもまん延しています。呼吸器系ウイルスの専門家の目からすると、思わず笑ってしまうものも少なくありません。
例えば、スーパーや飲食店に設置されているアクリル板、あるいはスーパーでの商品の消毒、フェイスシールドやマウスシールドなどですが、これらの感染対策はあまり意味のないことがほとんどです。こうしたゼロリスクを追求するあまりの過剰な対策で、本来は必要がない不自由が生じています。
一方で、こういった対策をしなければ、営業できない、補助の対象にならない、というのも事実です。現場の方々は、営業できるのか否かという不安の中、試行錯誤しながら対策をとってきました。そのもとになる当局からの指導が、誤った情報やそれに基づくガイドラインにそって行われるとすれば、問題は深刻です。
もっと言えば、こうしたトンチンカンな対策が、役に立たないどころか、コロナ以外で健康への悪影響を及ぼしたり、社会の分断などの弊害も生んでもいる。正しい知識、情報に乗っ取って、冷静に判断し、実生活で不自由さを感じている人たちを解放したい。そのような願いを込めて、私はこの本を作りました。
パーテーション・ビニールカーテンが危険なことも
意外に思われるかもしれませんが、スーパーやコンビニのレジに設置したビニールカーテンが、かえって危険なこともあります(図1)。確かに、目の前の客が出す飛沫はある程度、防げるでしょう。しかし、コロナ感染のリスクを高めるのは、すぐに地面に落ちる大きな飛沫よりも、空中を漂う「エアロゾル」なのです。
エアロゾルとは、空中を漂う広義の飛沫と飛沫核のことです。人が出すエアロゾルは、咳やくしゃみによるものだけではありません。呼吸や会話などあらゆる場面で、常につくられています。
店員のすぐ後ろに壁がある場合、店内の客が咳をして、カーテンのすき間からウイルスを含むエアロゾルが入ってきたら、壁とカーテンに囲まれた狭い空間からエアロゾルはなかなか抜けていかず、店員は長時間、それにさらされることになります。
ビニールカーテンでウイルスを避けられるはずが、逆にウイルスを吸い込みかねないリスクが高まるのです。要は、閉鎖された場所では、パーティションなどはむしろない方が安全なのです。
飲食店に設置されているアクリル板についても、同様のことが言えます。直進する飛沫は止められても、小さなエアロゾルは空中を漂い、アクリル板などは簡単に超えます。アクリル板で空気の流れを止めるより、空気が流れてウイルスが店内から出ていくようにするほうが、はるかに望ましい。真に有効な対策とは、換気をしっかりすることに尽きるのです。
飲食店は、新型コロナ対策のガイドラインとして客とキッチンをビニールカーテンで仕切るように指導され、そうしなければ補助の対象から外されてしてしまう、と聞きます。これは明らかに間違った指導です。
間違いだらけであっても、ガイドラインとして示されると、私たちはまずは信じてしまうのが普通です。しかし、繰り返しになりますが、換気をしっかりすることが最も重要なのです。飲食店の店主、現場で働くみなさんに、正しい知識を持って対応してもらえればと思います。
新型コロナは呼吸器系のウイルス
そもそも、新型コロナウイルスは呼吸器系のウイルスです(図2)。呼吸器系ウイルス感染症が広がる原因は、あくまで「空気感染」拡大です。粒子の大きさや乾燥の程度に関係なく、エアロゾル中のウイルスを、それが浮遊する空気を吸い込んで感染するのが、エアロゾル感染であり空気感染です。
ここのところを理解しないと、いつまで経っても空気感染の本質を理解できず、正しい対処ができないことになります。
感染コントロールに役立たないアルコール消毒
ムダな対策の代表格は、身の回りにあるものをアルコール消毒することでしょう。ほとんどのスーパーやデパート、金融機関などの入り口に置いてある手のアルコール消毒用の“関所”もそうです。これは単なるアリバイ作りで、感染コントロールにほとんど役立っていません。
アルコール消毒は、一般人の通常の生活では必要ありません。飲食店でも不要です。テーブルはもちろん、椅子はなおさらです。なぜか。私たちの環境中に生きたウイルスはそんなにいないからです。さらに、アルコール消毒は、消毒するものに汚れがついている状態だと、効果はありません。
実は不要なことを、真面目にやっている(やらされている)店の人たちを見るにつけ、かわいそうになってきます。
アルコールの効果を発揮させようと思ったら、消毒する前に、まず手を石けんで洗ったり、机をきれいな雑巾で拭いたりする必要があります。逆に、手洗いや机の水拭きさえすれば、アルコール消毒などしなくてもいいのです。もともと少ないウイルスを、洗い流したり拭き取ったりしてしまえば、実はほとんど残らないのです。
ラーメン店・焼肉店は自粛の必要のない「安全地帯」
そう考えると、換気がしっかりしているラーメン店や焼肉店などは、自粛の必要などない、「安全地帯」と言えるでしょう。店側がリスクを避けるための工夫をすれば、営業してなんの問題もありません。(図3)
ラーメン店は、麺を茹(ゆ)でる湯気や炒め物の油や匂いが店内に充満しないよう、強力に換気をしています。大きな換気扇を使っている店は、安心していいでしょう。客が多くても、隣同士でマスクを外して大声で会話しない限り、まずは大丈夫。
また焼き肉店は、キッチンの換気扇に頼らなくても、客の前に強力な換気装置があり、煙と一緒に周囲の空気を瞬時に吸い込んでくれるので、グリルを囲んだ対面の会食でも安全です。
PCR検査についても、ウイルスを正確に検出できているのか、という疑問がありましたが、西村ウイルスセンター長はこう言っています。
また、民間業者が行っている唾液による検査の信頼性にも疑問があるという。唾液を採取してからPCRにかけるまでの時間が長ければ長いだけウイルス遺伝子が酵素の働きで分解され、あるいは自然分解され少なくなるからだ。西村さんの立場からすれば、怪しいなという検査がたくさんあるという。
※しかしながら、感染予防の選択肢はワクチンしかない、マスクが有効としている点について、大いに疑問がありますが、ウイルスと感染対策の方法については、一読の価値がありそうです。
新型コロナウイルス発生から2年以上が経過して全国に感染拡大しており、国民の全てが既に感染しているとする見解もあります。すでに感染しているのに発症しない人が多いのは、集団免疫の働きによるのだそうです。自然免疫・T細胞系の働きが重要です。また、医療現場からの報告によると、感染して重症化するのは慢性疾患をコントロール出来ていない人と、高齢者だそうです。
以上