自然免疫にダメージを与えるリーキーガット
『自然免疫』というのは人が生まれながらに持っている免疫で、好中球、好酸球、マクロファージ(単球)、好塩基球、リンパ球などで白血球を構成しています。
これらのものが小腸から漏れ出た未消化タンパクを、異物として認識し攻撃します。そうすると血管内では炎症を生じて、炎症が血流に乗って全身を回ります。
しかも本人が気づかなければ炎症はズーッと続きますから、炎症体質になって外部からのウイルス感染や細菌感染に弱くなってしまうのです。
今回は、以前お伝えした小麦グルテン問題の2回目となります。
筆者は小麦(グルテン)を断って1年半が経ちました。お腹の調子も良いので大丈夫だろうと思い、小麦のうどんをどんぶり一杯分ざるにして食べてみることにしました。しばらく経つと、また元のように回復するという話を聞いたことがありますので、期待していたんですが。
食べた量が多かったのか、翌日起きるといきなり具合が悪い。頭がボーッとして何も考えられません。
動くのが億劫で、身体がだるく、疲れている。
手や足が腫れ、顔にむくみが出ている。お腹がゴロゴロして、下腹部の不快感もある。
やはり自分は小麦を食べてはダメなのだ、と悟りました。それにしても具合が悪くなりますね。以前はパンにラーメン、うどん、ピザ、餃子、ばかりでご飯を食べない日があっても、小麦を食べない日はなかったのです。
小麦を食べたのはこの時だけだったので、具合の悪さは翌日から解消していきました。
本人は何故気づかないのか
人が口から食事やお菓子などを食べてから胃や腸の消化管を経由し肛門まで、距離にして約9メートル、時間にすると約30~120時間かかります。
朝起きてお腹の具合が悪ければ、昨晩食べたものが原因だと分かりますが、数十時間も経ってしまっては何が原因かは分かりません。
人より余計に疲れている
体調がなかなか回復しない
ボーッとして頭が回らない
と思った時が、気がつく時です。
小麦(グルテン=グルテン過敏症)に不耐性を持つひとは40%いるそうです。しかも増えているといいます。
ところで小麦(グルテン)にアレルギーを持つ人はセリアック病といいます。こちらは反応が早いのですぐ分かります。欧米では100人に1人いるそうです。
しかしグルテン過敏症は遅発性の反応なので、本人は小麦のグルテンに反応していることが分かりません。
ではどうしたら良いのか
医療機関に行っても問題は解決しないので、念のため。
CTを撮ったり効かない薬を処方されても治らないうえに、医療費を無駄に捨てるようなものです。無駄な診療のおかげで国民医療費が40兆円を超えています。
まずは今日から2週間、小麦が含まれる食品を摂らずに過ごして下さい。パン、ラーメン、うどん、ピザ、餃子、お好み焼き、たこ焼き、焼きそば、ビスケット、スナック菓子等々、小麦をメインの成分としているものすべてです。
スーパーやコンビニに行くと小麦不使用のものを探すのが困難ですが、少なくとも小麦がメインのものを避けるべきです。
小麦を断ってから2~3日で、徐々に体調が回復してくるのがわかります。
そして2週間たったら、また小麦メインの製品を食べてみます。翌日かその次の日に以前のように具合が悪くなれば、あなたはグルテン過敏症ということになります。
また、その時に何も変化がなければ、グルテン過敏症ではないので今まで通り小麦製品を摂って大丈夫です。しかし小麦は消化しにくいため、多くとることはお勧めしません。
少し複雑なメカニズム:腸の透過性問題
Leaky Gut Syndrome(リーキーガットシンドローム)腸管壁浸漏症候群
腸のバリア機能に障害が起こることで様々な病気や不調を招いてしまう症状。これは特に小腸に現れる。腸粘膜の透過性が高まると、未消化物まで吸収されてしまい、炎症が持続してしまう。
小腸の上皮細胞には柔毛という突起が出ているが、突起は表面積を増やして栄養を吸収しやすくするため。ところが炎症が起きてしまうと突起が出ていない状態となる。
リーキーガットでは未消化タンパクや腸管にいる菌やカビが腸管の上皮細胞の間からすり抜けてしまい、毛細血管の中に入り込む。上皮細胞と上皮細胞の間にある接合因子(タイトジャンクション)が弱まったり無かったりすると、隙間ができてここから未消化物がすり抜けていく。
毛細血管の中の免疫はこれを異物と認識し攻撃するため、炎症が持続してしまう。詳しくはこちら
症状は腸だけにとどまらない。リーキーガットが集中治療室で治療を受ける患者さんの大きな死亡原因
リーキーガットは自分で気が付く以外に方法がないようです。