子宮頸癌ワクチンだから違うと思っている人は、恐らく何も分っていません。安全性試験が繰り返されはずのワクチン接種。副作用で苦しむ人がいると、今度は科学の名の下に『他の病気でしょ』『科学的根拠がない』といって否定してきます。科学というものの未熟さを分っていないのです。生体内反応で分っていることは、ほんの一部分です。
25歳女性「人生返して」 子宮頸がんワクチン訴訟
福岡地方裁判所=福岡市中央区
国が接種を呼びかけた子宮頸がんワクチンが全身の痛みやしびれなどの副作用を引き起こしたとして、福岡など6県に住む22~29歳の女性26人が国と製薬企業2社に1人当たり1500万円の損害賠償を求めた訴訟で、福岡地裁で22日、本人尋問が行われ、原告の1人、梅本美有さん(25)が「私の願いは、健康な体に戻り、普通に暮らすこと。人生を返して」と訴えた。 訴訟は2016年7月に東京、名古屋、大阪、福岡の各地裁に一斉提訴され、本人尋問は全国初。福岡訴訟の26人を含む117人が原告となっている。製薬会社側は「安全性は医学的、科学的に確立している」と請求棄却を求めている。
子宮頸がんワクチンめぐる一斉提訴から8年目にして健康被害を訴える女性たちを法廷で“尋問”「血を吐くような思いを10年」「科学的な裏付けは存在しない」対立する主張
子宮頸がんワクチンの接種によって健康被害が生じたとして、接種した女性たちが国と製薬会社に損害賠償を求めている裁判の審理が福岡地裁で22日、開かれました。全国の同種訴訟で初めて、原告本人が法廷に立ち、裁判官や代理人からの質問に答えました。原告の1人の女性(25)は「痛くて苦しくて血の吐くような思いを10年もしてきました」と語りました。一方で製薬会社側は「世界中の保健機関が安全かつ有効であるとして推奨している。原告らは少数の医師らによる信頼性の乏しい症例報告や憶測に基づく研究に依拠している」と主張しています。 【写真で見る】健康被害が生じたとして国と製薬会社に損害賠償を求める裁判
7年以上も主張を交わす“弁論”が行われてきた
廷内
子宮頸がんワクチンをめぐる訴えは、2016年7月に全国4地裁(福岡・大阪・名古屋・東京)で一斉に起こされました。同年9月に福岡地裁で第一回口頭弁論が開かれたのを皮切りに、7年を超える長きにわたって各地で弁論(または弁論準備)が続いています。去年になって、原告側の医師の証人尋問も始まり、福岡地裁では22日、全国初めてとなる原告本人の尋問が行われました。
痛みやけいれん、睡眠障害、記憶力の低下を訴えている
この裁判は、子宮頸がんワクチンを接種した女性たち、がワクチンを製造販売した製薬会社2社と、ワクチンを承認し、接種を推奨した国に対して計3億9000万円の損害賠償を求めているものです。女性たちは、日常生活に支障が出るほどの体の痛みやけいれん、睡眠障害、そして記憶力の低下などの症状があらわれたと訴えています。福岡地裁における原告はいずれも20代の26人で、1人当たり1500万円を求めています。
国は再び“積極的な接種の呼びかけ”に転じる
国と製薬会社は、安全性は医学的・科学的に確立しているなどとして、原告の症状とワクチンの因果関係を否定し、争っています。国は2013年4月から予防接種法に基づく定期接種の対象にしました。その後、健康被害の訴えが相次いだことから、その2か月後に「積極的に推奨」することを中止。しかし、安全性や有効性が確認されたとして、国はおととしから積極的な接種の呼びかけを再開しています。
原告側の主張要旨「血を吐くような思いを10年」
梅本美有さん(25):
Q.高校1年生の5月に3回目の接種をし、その後どのような痛みが出ましたか?
足の付け根が痛くなり、どんどん広がりました。高校1年生の夏から大量の鼻血、皮膚の湿疹、吐き気。ずっとムカムカして頭痛もあって体を起こしていられなかったです。
Q.学校生活に変化は?
よく休むようになりました。生理痛は激しく気絶することもあり風邪をひきやすくなりました。高2の秋からは起きようと思っても体が動かないようになりました。
Q.転校をした?
はい。学校から「進級しても卒業は難しい。転校した方がいい」と言われました。部活も勉強も頑張っていたのに、とてもショックでした。その後、制服はいらないと泣きながらごみ袋に入れました。なぜ私がこんな目にあわなければならないのか。勉強も頑張りたいのにとても惨めで悔しかったです。
Q.一番辛かった痛みは?
大学の卒業式前の首の痛みです。激烈な痛みで座っていることもできず、毎日毎日痛くて、このまま死ぬんじゃないか。いっそ殺してくれと思いました。
Q.就職先は市役所に?
民間は体調に不安がありました。公務員の障害者枠なら体調を鑑みてくれるだろうと思いました。毎日毎日、体の痛みで動けなくて、倦怠感もありました。
Q.1年8ヶ月で退職を?
はい。体調が悪化し、痛みから涙をためながら働いていたのを課長に気づかれたり、受話器も取れなくなり、退職を決めました。
Q.今は仕事はしていない?
はい。身体中の痛み、ズキズキと電流の走る痛みで、手はこれくらいしかあがらない(肩より下でわずかに腕をあげる)。
Q.最近は何をしていますか?
手話の勉強を始めました。去年8月から声が発せないことがありました。
Q.最後に言いたいことは?
私はどこにでもいる普通の子でした。将来は保育士を目指していました。25歳の今、まわりの友人は社会的に自立をしています。私は毎日症状に苦しみ、生活するのがやっとです。切り離された世界にいるように感じます。痛くて苦しくて血の吐くような思いを10年もしてきました。それでも、被告は非を認めません。あと10年、20年生きろと言うのでしょうか。私の人生を返してください。私の願いはただ普通に暮らすことです。
製薬会社側の主張要旨「科学的な裏付けは存在しない」
▽日本では毎年1万人が子宮頸がんを発症し、3000人が死亡している。
▽世界中の保健機関が安全かつ有効であるとして推奨している。原告らは少数の医師らによる信頼性の乏しい症例報告や憶測に基づく研究に依拠している。原告らに関するほぼすべての症例について、認知行動療法のような適切な治療によって改善できたであろう心因的な要素があった。しかしHPVワクチンによるものと誤解させられたことで、不適切で侵襲性が高い治療を受け、回復が妨げられている。
▽ワクチンと原告らの症状との間の因果関係に関する科学的裏付けは存在しない。症状には他の原因があることが明らかである。