新型コロナウイルス

荒川央氏:汚染DNAのゲノムへの取り込みは起こっているか

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コロナワクチン由来のスパイクタンパクは2〜6ヶ月に渡って血中を循環する: PROTEOMICS – Clinical Applicationsに掲載された論文から

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LNP/mRNA製剤のコンセプトでは、設計図である遺伝子を細胞に導入し、細胞を薬品工場として利用します。しかし、抗原生産を止めるスイッチは存在しません。免疫系は、異物が体内に投入された時点でその異物との戦いを余儀なくされます。スパイクタンパクを産生するようになった自己細胞を免疫系が攻撃し、破壊する現象が抗体依存性自己攻撃、T細胞依存性自己攻撃です。免疫系による自己細胞への攻撃は人体にとって致命傷となる場合もありますが、そうした現象ですら汚染DNAをゲノムに取り込んだ細胞の排除に必要なものです。コロナワクチンによる免疫抑制も、免疫系が抗原を「危険ではない」と学習した結果も反映しています。ワクチン副作用、後遺症の原因の多くは細胞に取り込んだ異物を取り除くための浄化作用であり、また反対に異物への寛容化も体内に起きた異常事態を正常化させるための体のホメオスタシス (生体恒常性) の防衛ラインが作動しています。防衛ラインの暴走が生死に関わる事もあるのですが、LNP/mRNA製剤のもたらす「異常」がそれほど甚大なのです。

ワクチン接種後長期間スパイクタンパクを発現する様々な原因の一つが汚染DNAであるとすれば、汚染DNAのゲノムへの取り込みは広範に起こっている可能性があります。基本的には免疫系による排除によって、そうした細胞の大半は除かれます。しかし、その排除機能も完全ではありません。そして、スパイクタンパク全長ではなく、短いDNA断片の取り込みによる遺伝子破壊はそうした免疫系の監視機構からも免れて、そのまま残ってしまう事になります。こういった事を踏まえ、我々は改めて、mRNAワクチンの根本的な欠陥を再認識する必要があるでしょう。

荒川央 (あらかわ ひろし)

 

 

スパイクタンパクには血管毒性があり、特に血栓の原因となります。コロナワクチンによるスパイクタンパクの生産はワクチン接種後すぐには止まりません。接種後少なくとも4ヶ月以上の長期間にわたってスパイクタンパクを持つエクソソームが血中を循環しているという報告もあります。しかし、もしワクチン接種者がコロナウイルスに感染してしまった場合、ウイルス由来のスパイクタンパクも同時に体内で作られる事になります。では、スパイクタンパクがウイルスではなくワクチンに由来するものと判別するにはどうすれば良いでしょうか。実はコロナウイルスとワクチンのスパイクタンパクには明確に違う箇所が1つあるのです。

コロナウイルスが細胞に感染する際にはウイルスの膜と細胞の膜が融合しますが、この融合を媒介するのがスパイクタンパクです。細胞膜の融合を促進する糖タンパク質はフソゲンと呼ばれ、スパイクタンパクはコロナウイルスのフソゲンでもあります。2つの膜を融合する際に、スパイクタンパクは構造上のヒンジの部分で大きく折れ曲ります。ファイザーやモデルナのコロナワクチンのスパイクタンパクは、このヒンジの箇所のアミノ酸が折れ曲がれないアミノ酸に置換されたものです。いわば、コロナウイルスのスパイクタンパクは「折れ曲がるトゲトゲ」であり、コロナワクチンのスパイクタンパクは「折れ曲がれないトゲトゲ」です。武漢型のコロナウイルスとコロナワクチンのスパイクタンパクの違いはヒンジの部分の2アミノ酸だけです。

つまり、ワクチン由来のスパイクタンパクを検出するにはヒンジの部分を厳密に識別する必要があります。Brognaらは質量分析の手法を用いて接種者の血中のワクチン由来のスパイクタンパクを特異的に検出しました。ワクチン由来のスパイクタンパクは接種者の50%から長期に渡って検出され、検出期間は69〜187日に及びました。

Detection of recombinant Spike protein in the blood of individuals vaccinated against SARS-CoV-2: Possible molecular mechanisms
Brogna et al. (2023) Proteomics Clin. Appl.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/prca.202300048

SARS-CoV-2ワクチン接種者の血中における組換えスパイク蛋白質の検出:考えられる分子機構

要旨
目的: SARS-CoV-2のパンデミックは、次世代ワクチンの開発と使用を促した。このうち、mRNAベースのワクチンは、組換え型スパイクをコードするmRNAの注射液から構成されており、タンパク質を前駆状態で維持するために導入された特定のアミノ酸変異により、野生型タンパクと区別する事ができる。本研究では、抗体価に関係なく、ワクチン接種者における組換えスパイクタンパクの存在を明らかにするプロテオミクス的アプローチを提示する。
実験デザイン: mRNAベースのワクチンを接種した被験者における組換えスパイクタンパクの特異的断片の存在を検出するために、生物学的サンプルの質量分析検査を用いた。
結果: 特異的なPP-スパイク断片は、分析した生物学的サンプルの50%で検出され、その存在はSARS-CoV-2 IgG抗体価とは無関係であった。ワクチン接種後にPP-スパイクが検出された最短および最長期間は、それぞれ69日および187日であった。
結論と臨床的意義: 提示された方法により、スパイクタンパク分子 “PP “の半減期を評価し、SARS-CoV-2 mRNAワクチンの追加ブースター投与を継続する際のリスクまたは利益を検討する事ができる。このアプローチは、抗体レベルのモニタリングを補完する貴重なサポートであり、ワクチン接種被験者における組換えスパイクの最初のプロテオミクス検出となる。

ファイザーとモデルナの武漢型コロナワクチンの遺伝子配列は異なりますが、アミノ酸配列は同一です。どちらのワクチンでも986位のリシン (K) と987位のバリン (V) がプロリン (P) に置換されています。このアミノ酸置換によってスパイクタンパクは折れ曲がれない状態で固定されています。著者らはこの差異を用いてコロナワクチン由来のスパイクタンパクの検出を試みました。著者はコロナワクチン由来のスパイクタンパクを「PP-スパイク(PP-Spike) 」と呼んでいます。

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トリプシンは膵液に含まれる消化酵素の一種であり、タンパクを分解する酵素活性を持ち、リシンやアルギニンの後ろでタンパクを切断します。トリプシンによって野生型スパイクタンパクが消化されると、ヒンジの部分からLDK+VEAEVQIDRという2つの小さな断片を生成します。これに対し、ワクチンmRNAによってコードされるPP-スパイクがトリプシンで消化されるとLDPPEAEVQIDR断片 (PP-スパイクマーカー) を生成します。

タンパクの断片を検出するために有力な手法が質量分析法 (マススペクトロメトリー ) です。この分析法では、分子をイオン化し、その質量とイオン値の比 (m/z) を測定する事によってイオンや分子の質量を測定します。質量分析法は既知物質の同定や未知物質の構造決定には極めて有力な手段となるため、有機化学や生化学の分野で多用され、また重要な分析法となっています。ちなみに、この質量分析法の開発には日本人も大きく貢献しています。島津製作所の田中耕一先生は、質量分析法に応用可能なソフトレーザー脱離法 (SLD) の開発の功績により2002年のノーベル化学賞を受賞されました。

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採血方法についても触れておきます。ここではまずmRNAコロナワクチンの全サイクルを接種済み (2022年4月時点) の20人とワクチン未接種の20人からドライ・ブラッド・スポット (DBS) 法によって血液が採取されました。この手法による採血量はごく少量  (約20~40 μl) ですが、それでも質量分析には十分であり、ここでは2 µlが解析に用いられました。分析された20人のワクチン未接種者はコロナ検査で陰性であり、抗体価もゼロでした。そのため、さらにコロナ感染陽性のワクチン未接種者20人が追加されました。接種者の抗体価の幾何平均は629.86 BAU/mlでした (図1E) 。

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特異的なPP-スパイク断片は、分析した生物学的サンプルの50%で検出されました (図1D) 。PP-スパイク断片は、スパイクタンパクに対するIgG抗体価とは無関係でした。PP-スパイクが検出されたのは、ワクチン接種後最短で69日後、最長で187日後でした。コロナ陰性のワクチン未接種者からはPP-スパイクは検出されませんでした。コロナ感染後のワクチン未接種者20人でもPP-スパイクは陰性でした。

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結果、mRNAコロナワクチン接種者の半数で、接種後2〜6ヶ月という長い期間に渡ってスパイクタンパクが血中を循環している事が判明しました。では、これほど長期間に渡りスパイクタンパクが維持される分子メカニズムとは一体どういったものでしょうか。スパイクタンパクは抗体を作るための抗原ですが、体内では常時免疫系によって攻撃され、消費されます。そのため、スパイクタンパクの量が長期間維持されるためには常時どこかで作り続けられているはずです。著者はその分子メカニズムに対して3つの仮説を立てています。

仮説1) mRNAがDNAに逆転写され、DNAからmRNAが再転写されている。
仮説2) シュードウリジンRNAが長期間安定に維持されている。
仮説3) mRNAを含むナノ粒子が細菌に取り込まれている。

さて、ここから先は私自身の考察となります。まず、著者の仮説のうち仮説3についてですが、バクテリアとヒトではそもそもタンパク翻訳のためのコドン表が異なりますので、バクテリアはヒトのmRNAからは適切なタンパクを作れません。そのため、バクテリアにもよりますが一般論として仮説3は無理があります。次に仮説2についてですが、シュードウリジン化RNAは免疫系の監視機構をすり抜けるために安定ですが、とは言え半年も細胞内で維持され得るものでしょうか? 最後に、仮説1については逆転写の可能性自体は否定できません。しかし、コロナワクチンを汚染しているDNAの存在が確認された以上、逆転写によってDNAが作られるよりもワクチンを汚染しているDNAそのものが原因である可能性を考える必要があるでしょう。

この論文では触れられていませんが、私は4つ目の仮説として、ワクチンを汚染しているDNAがゲノムに組み込まれ、そこからスパイクタンパクを合成している可能性を考えます。また、これらの仮説はどれか1つだけが正しく他が間違いとは限りません。それぞれの接種者で異なった作用機序が組み合わさって起こる可能性もあります。いずれにせよ、培養細胞レベルの実験とは異なり、人体内のゲノムに組み込まれたDNAを取り除くのは現時点の技術では不可能です。そうしたDNAを取り除くためには、DNAがゲノムに組み込まれた細胞ごと殺傷するしかありません。

LNP/mRNA製剤のコンセプトでは、設計図である遺伝子を細胞に導入し、細胞を薬品工場として利用します。しかし、抗原生産を止めるスイッチは存在しません。免疫系は、異物が体内に投入された時点でその異物との戦いを余儀なくされます。スパイクタンパクを産生するようになった自己細胞を免疫系が攻撃し、破壊する現象が抗体依存性自己攻撃、T細胞依存性自己攻撃です。免疫系による自己細胞への攻撃は人体にとって致命傷となる場合もありますが、そうした現象ですら汚染DNAをゲノムに取り込んだ細胞の排除に必要なものです。コロナワクチンによる免疫抑制も、免疫系が抗原を「危険ではない」と学習した結果も反映しています。ワクチン副作用、後遺症の原因の多くは細胞に取り込んだ異物を取り除くための浄化作用であり、また反対に異物への寛容化も体内に起きた異常事態を正常化させるための体のホメオスタシス (生体恒常性) の防衛ラインが作動しています。防衛ラインの暴走が生死に関わる事もあるのですが、LNP/mRNA製剤のもたらす「異常」がそれほど甚大なのです。

ワクチン接種後長期間スパイクタンパクを発現する様々な原因の一つが汚染DNAであるとすれば、汚染DNAのゲノムへの取り込みは広範に起こっている可能性があります。基本的には免疫系による排除によって、そうした細胞の大半は除かれます。しかし、その排除機能も完全ではありません。そして、スパイクタンパク全長ではなく、短いDNA断片の取り込みによる遺伝子破壊はそうした免疫系の監視機構からも免れて、そのまま残ってしまう事になります。こういった事を踏まえ、我々は改めて、mRNAワクチンの根本的な欠陥を再認識する必要があるでしょう。

繰り返しますが、コロナワクチン接種後、半数の人では少なくとも2〜6ヶ月にも渡ってスパイクタンパクが血中を循環している事が判明しました。中には半年以上もスパイクタンパクを発現しているケースも見付かっています。この解析にはわずか2 µlの血液で十分でした。接種後1〜2年以上もスパイクタンパクを発現する人の血液中の細胞からスパイク遺伝子のDNAが見つかれば、そのサンプルをディープシークエンシングでゲノム解析をする事ができます。スパイクタンパクを生産する細胞が血球とは限りませんが、血液サンプルは貴重な材料となるでしょう。現在の技術では1細胞からでもPCRに頼らずにゲノムを増幅し、ディープシークエンシングでゲノム解析をする事が可能です。このBrognaらの論文は汚染DNAのゲノムへの取り込みを証明するためのプロセスへの重要なヒントを与えてくれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

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