新型コロナウイルス

小島勢二先生:海外では感染が終息しているのに何故日本で流行が続くのか

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日本人はやはり騙されやすく、自分で海外の情勢を調べることが出来ないバカ、ワクチンに効果があるかどうか確かめることが出来なかった。コロナ感染の流行は日本だけで、既に海外の流行は終わっている。その理由は世界に前例がないほどのワクチン接種回数にあると言えるでしょう。ウイルスと日本の風土や日本人の体質がウイルスに親和性があったからだという人はいないと思われます。その結果はこれから接種者の身に降りかかってくるでしょう。

小島 勢二 名古屋大学名誉教授

なぜ日本ではコロナの流行が続くのか?

 

モデルナ社が発表する全国のコロナ新規感染者数は、5月の66万人が、6月には100万人に増加、7月は21日までの集計が150万人に達した。「今回の流行は、これまでの変異株と比較して感染力の強い新たな変異株KP.3が出現したことによる」と感染症の専門家は、注意を喚起している。

わが国のコロナワクチンの総接種回数は、2024年3月末までで4億3,600万回、7回接種を受けた人数も1,750万人に達している。全額公費負担による接種は、3月31日で終了したが、なかには4月以降になってからも、自費で8回目接種を受けた人もいると思われる。

わが国のコロナワクチンの接種回数は世界でも抜きんでているが、ワクチン接種をやめた海外では、コロナの流行が起きているのであろうか。(図1)

図1 日本のコロナ新規感染者数の変動とワクチン接種

昨年の5月以降、わが国では日々のコロナ新規感染者数は発表されなくなったが、Worldometerというサイトには、各国のコロナ新規感染者数が掲載されていた。

図2に昨年9月以降における人口10万人あたりの新規感染者数を示す。他の国では終息したのにもかかわらず、日本のみコロナの流行が継続している。しかし、2024年の4月13日をもって、Worldometerもデータの更新を行っていない。

図2 2023年9月以降における新規コロナ感染者数

そこで、現在も新規コロナ感染者数を更新しているサイトを探したところ、英国、ドイツ、カナダ、オーストラリアのサイトが新規感染者数を更新していた。

図3には、日本を含めた5カ国の人口10万人当たりの新規感染者数を示す。7月に入って感染者数が激増しているのは日本のみで、他の4カ国ではコロナの流行は見られていない。

図3 2024年5月以降における新規コロナ感染者数

なぜ、日本だけコロナの流行が終息しないのだろう。日本のブースター接種回数が抜きん出ていることがその理由ではないだろうか。

筆者は以前に「ワクチンを打つほどコロナに罹りやすくなる直接的な証拠」という記事をアゴラに投稿したことがある。

ワクチンを打つほどコロナに罹りやすくなる直接的な証拠

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その記事のなかで、査読前論文ではあったが、米国のクリーブランドクリニックから報告されたワクチンの接種回数と感染率を検討した研究を紹介している。

未接種者の感染率が最も低く、2回、3回、4回と接種回数が増すと感染率は増加した(図4)。

図4 ワクチンの接種回数とコロナウイルスへの感染頻度
Open Forum Infect Dis 2023 Jun;10(6)

この論文は、 2023年4月19日に査読済みの論文として医学雑誌に掲載された。

Effectiveness of the Coronavirus Disease 2019 Bivalent Vaccine

アゴラでは、クリーブランドクリニックからの論文と同様にワクチンの接種回数が増えると感染率が増加することを示す臨床研究や、ワクチンを追加接種するとかえってコロナウイルスに対する免疫能が低下して感染しやすくなることを示す基礎研究も紹介した。

ところで、6月28日に開催された厚労大臣記者会見で、クリーブランドクリニックが発表した論文を巡って以下の討論が行われた。

記者:厚労省は、これまで新型コロナワクチンは”ベネフィットを踏まえると安全性は許容可能”だとしてワクチン接種を進めてきましたが、”許容可能”の根拠はクリーブランドクリニックの調査結果によって覆り、接種回数が多ければ多いほどコロナに感染しやすくなるというのが正しいのではないでしょうか?

武見厚労大臣:私もその報告書は見せていただきました。この論文の筆者も、ワクチンの有効性そのものは認めています。結果に影響を与えるグループ間の様々な因子が実際には調整されていないことから、接種回数と感染リスクの因果関係までは明確にしておりません。しかも、筆者自身、ワクチンについてその効果を肯定する結果を踏まえており、それをまず踏まえた上での議論であったというのが、この論文に関わる私の理解です。

この新型コロナワクチンについては、国内外の複数の報告において重症化予防効果等の公衆衛生上のベネフィットが繰り返し認められているほか、ワクチン接種により感染者数や死亡者数を抑制できたとする研究結果も国内外から複数報告されているものと承知しています。

武見厚労大臣は、自身で論文を読んだ上で、筆者がワクチンの有効性を肯定したと理解していると答弁している。この論文の筆者がワクチン効果について言及しているのは以下の箇所である。

The bivalent COVID-19 vaccine afforded modest protection overall against COVID-19 while the BA.4/5 lineages were the dominant circulating strains, afforded less protection when the BQ lineages were dominant, and effectiveness was not demonstrated when the XBB lineages were dominant.

流行株がオミクロンBA.4/5株であった時には30%と若干の感染予防効果があったが、XBB株が優勢になると予防効果は見られなくなったというのがこの論文の結論である。

この文章からは、論文の筆者がワクチンの有効性を肯定しているとは思えない。また、結果に影響を与える因子を調整してないと武見大臣は答弁しているが、論文ではコックス比例ハザードモデルによる多変量解析を行なっており、結果に影響を与える因子は調整されている。

さらに、武見厚労大臣は国内外の複数の論文がワクチンの重症化予防効果を報告していることを強調しているが、この問題についても筆者はアゴラで論じたことがある。

コロナワクチンに重症化予防効果はあるのか?

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脇田国立感染研所長によると、わが国からコロナワクチンの重症化予防効果を報告した論文は2報あるが、ともに診断陰性コントロール試験の手法による小規模な研究である。

診断陰性コントロール試験の結果は、感染率が高い場合には、コホート研究などの標準的な研究結果とは一致しないという欠点があり、他の研究方法で得られた結果と比較することが必要である。わが国からは、確実にコロナワクチンの重症化予防効果を示す研究は報告されていない。

筆者が武見厚労大臣に望むのは、「海外ではコロナの流行が終息したのに、なぜ日本では流行が続くのか?」という疑問に対する回答である。

 

 

 

 

 

 

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