相次ぐコロナワクチンへのDNA混入の追試
dコロナワクチンへのDNAへの混入について、追試の報告が相次いでいます。Kevin McKernan先生の発表後、オランダのグループもDNA混入を発見していた事を認めました。しかし彼らは実に2021年には混入を確認していながらも、コロナワクチンの目的外使用規制によるペナルティーを恐れ、現在に至るまでデータを公表できない状況にあります。今回はそのグループとはまた別の米国の独立した2つのラボからのDNA混入の追試実験を紹介します。1つはMilford Molecular DiagnosticsのSin Hang Lee博士の研究、もう1つはサウスカロライナ大学のBuckhaults博士の研究です。
Milford Molecular DiagnosticsのSin Hang Lee博士はコロナワクチン混入DNA配列をPCR増幅し、さらに増幅されたPCR産物の塩基配列を決定しました。Lee博士のラボは臨床検査室改善法 (CLIA, Clinical Laboratory Improvement Amendments) の資格を有するラボです。Lee博士は、ガーダシル (HPV (ヒトパピローマウイルス) ワクチン、子宮頸がんワクチン) への汚染DNAを発見した事でも知られています。
ディープシークエンシングは1回の実験で数百万から数十億の配列を生成できるため、大規模ゲノムのシークエンスに適しています。これに対しサンガー法 (サンガーシークエンシング) は伝統的な塩基配列解析法であり、DNA断片の配列を1つずつ解析するための手法です。サンガー法は今でも分子生物学の現場で汎用されており、この手法によるPCR産物の塩基配列解析は、そのPCR産物を確定する決め手となります。サンガー法はFrederick Sanger博士によって開発された手法で、博士はこの功績により1980年のノーベル化学賞を受賞しました。
以下はMcKernan先生のブログ記事で、ファイザーコロナワクチンBNT162b2 (武漢型mRNAワクチン) におけるプラスミドアンプリコンの塩基配列解析による検証についてです。
Lee博士はファイザーコロナワクチンから増幅されたOriアンプリコンを増幅し、塩基配列決定を行いました。この領域は、本来ワクチンに含まれるべきでない汚染プラスミドベクターに由来するものです。
プライマーおよびプローブは、図1のプラスミドマップにおいて紫色の領域として描かれています。これらのプライマーとプローブの配列はMcKernan先生が使ったものと同じです。
Lee博士によって得られた配列中の位置は、プラスミドベクターマップ中の青い括弧で示されています。
図2はワクチンおよび合成DNAコントロール由来のPCR産物をサンガー法による塩基配列解析で決定したものです。順方向と逆向きの両方向の塩基配列です。
Pfizer bivalent expression vector BNT162b2, complete sequence
Modern mRNA1273 expression vector, complete sequence
ファイザーとモデルナのコロナワクチンのベクター配列がGenBankに登録されたのはごく最近であり、それぞれ2023年6月13日、2023年6月14日です。Lee博士が解析した配列はGenBankに登録されたファイザーmRNAベクターと100%一致しています。Lee博士はスパイクPCR産物からも塩基配列を決定しました。
図3はDNaseI処理したコロナワクチンと、していないコロナワクチンからのPCR増幅です。DNaseI処理の有無に関わらず、PCRのバンドの強さは同程度でした。つまり、ワクチン内のDNAはDNaseIによる分解に耐性であり、DNaseI処理後もPCRで増幅されています。DNaseIによる分解からDNAを保護しているものの一つはDNAを封入しているLNPであり、もう一つはDNAと強固に結合しているシュードウリジン化RNAです。
もう一つの報告は、サウスカロライナ大学教授で癌遺伝学研究室長のPhillip Buckhaults博士によるものです。
Buckhaults博士のラボで検査されたファイザーコロナワクチンBNT162b2 (武漢型mRNAワクチン) バイアルはqPCR Ct値が18〜19の範囲でした。
博士の研究室は2ロット(EL-9262とEL-9264)から2バイアルずつ、合計4バイアルをテストしました。
図4はワクチンの連続希釈液からのqPCRです。
ここで観察されたCt値は、McKernan先生が以前別のバイアルで報告した値と数Ct値以内の差でした (図4および表1)。ただし、Buckhaults博士がワクチンそのものやワクチンを水で連続希釈したものをPCRに用いたのに対し、McKernan先生はリーフ溶解バッファーでワクチンを処理し、希釈したものや、磁性ビーズで精製したものをPCR増幅しています。
Buckhaults博士の研究室ではBioRad CFX 96 qPCR装置を使用しています。この機器はMcKernan先生の研究で使用されたものと同じであり、異なるラボ間のCt値の比較として適しています。McKernan先生が紹介した実験の中で最も低いCt値は15.5です。これはSimon Goddek博士とRandall Bock医学博士がMcKernan先生の研究室を来訪した際にファイザーの一価バイアルから観測したCt値です。
検量線から計算すると、Buckhaults博士の解析したファイザーワクチン内のDNAは1~2百万dsDNAコピー/ulでした。ファイザーベクターは7810 bpなので、コピー数からDNAの濃度を計算すると8〜16 pg/µlになります。McKernan先生に確認したところ、バイアルは成人用で、もともとは500 µlでした。つまり計算上はバイアルあたり4〜8 ngです。しかしながら、量の計算については注意すべき点がいくつかあります。
定量PCR (qPCR) はDNAおよびcDNAをPCR増幅し、PCR増幅に必要なサイクル数を測定する間接的定量法です。プライマーが結合する既知の配列を定量する方法ですが、未知の配列については定量の対象外です。また、鋳型となるDNAの品質も重要です。鋳型となるDNAが損傷しており増幅が困難であった場合、DNAはqPCRで検出できない「幽霊」のような存在になります。そして、コロナワクチンに混入しているDNAはまさにDNase Iによって損傷を受けているDNAです。ランダムに切断されたDNAは基本的にqPCRでは定量できません。Ct値での判断ではどうしても過小評価になり、その過小評価の幅が実際どのくらいになるのかも不確かです。
また、qPCRはDNAの純度にも影響され、PCRを阻害する物質の混入は増幅を妨ぎます。Buckhaults博士の研究室の実験では、ワクチンからDNAを精製していないため、汚染物質による増幅反応の阻害の影響は否定できません。実際、希釈無しの状態のqPCRが検量線からずれるように汚染物質はqPCRを阻害しています。一方、DNAに強固に結合したシュードウリジン化RNAやDNAを封入しているLNPは希釈によっても阻害効果は変わらないでしょう。
どんな測定法にもバイアスというものが存在します。例えば、ゲノムDNAの濃度を分光光度計と蛍光光度計で測定すると、蛍光光度計による数値が分光光度計の数値よりも10倍低い事もあります。分光光度計は二本鎖DNA、一本鎖DNA、RNAを区別できないのに対し、蛍光光度計はそれぞれを特異的に検出できるからです。一般的に、組織や培養細胞から精製されたゲノムDNAにはRNAが混入している事もあり、また損傷を受けたり、二次構造を取った箇所が一本鎖の構造をとる事もあります。こうした事が測定値の違いに影響します。DNAとRNAの濃度を比較する場合、同一の測定法を取らないと、それぞれの測定法のバイアスを大きく受ける可能性があります。
Oriは本来コロナワクチンには含まれていないはずのベクター由来の部分ですが、その部分だけでもこれだけ検出されました。スパイクについては過剰に存在するシュードウリジン化RNAがPCRを阻害する恐れがあります。実際の混入DNAの量はqPCRで計測された数値よりも何十倍〜何百倍である可能性があります。そして、Buckhaults博士のラボはRNAの濃度を同一の方法で測定していないため、混入DNAとRNAの比についても結論が出ていません。ワクチン混入DNAの定量法は確立しておらず、とりわけqPCRによるDNAの定量値は最低限の見積もり値と考えるべきでしょう。
多くの動植物において、癌はレトロウイルスによる伝染病です。そしてレトロウイルスの多くは癌遺伝子を持っており感染組織を癌化させます。一方、癌遺伝子を持たないレトロウイルスも存在します。そうしたレトロウイルスは感染を繰り返すうちに、癌遺伝子の近傍に強力なエンハンサーを偶然組み込み、癌遺伝子の制御を失わせて細胞を癌化させます。エンハンサーについて懸念されるのはこうした事象です。
コロナワクチン混入DNAの中でも注目されているのが「SV40プロモーター」です。ファイザーコロナワクチンベクターでは、SV40プロモーターの72 bpの配列が2つ繰り返されています。しかもこの部分はプロモーター内のエンハンサーでもあるのです。プロモーターは転写を開始するのに必須の領域で、遺伝子の直近の上流に位置します。エンハンサーの働きは組織特異的な遺伝子発現と転写活性増強です。エンハンサーはプロモーター内に含まれる事もありますが、数十kb離れた位置からでもプロモーターの働きを増強し、順向きと逆向きのどちら向きでも機能します。SV40はポリオーマウイルス科に属する小型の二本鎖DNAウイルスですが、SV40のDNA複製は感染細胞の核で起こります。宿主細胞に感染するとウイルスゲノムは細胞核に運ばれ、そこで細胞の機構を乗っ取ってDNAを複製します。この際にDNAの核への輸送を担うのもSV40エンハンサー配列です。
混入DNAのうち大きな問題のあるSV40エンハンサーを特異的に検出する実験系をデザインするのは賢明です。McKernan先生はファイザー社のコロナワクチンに含まれるSV40エンハンサーを検出するqPCRを提唱しています。このPCRはファイザーワクチン専用です。モデルナワクチンにはこの配列が含まれていないため、このアッセイは機能しません。
SV40エンハンサーqPCR
このアッセイは、ファイザーコロナワクチン中SV40の配列が2コピーあるので、SpikeやOriアッセイよりも感度が高くなります。スパイクアッセイやOriアッセイとは異なるチャンネルの赤色蛍光色素 (テキサスレッド) を利用しているので、両者を多重化して検出できます。
McKernan先生は実験手法を標準化する事を提唱しています。コロナ感染のPCR検査の多くはCt値の基準が公表されておらず、統一もされていないといういいかげんなものでした。しかし、図らずも現在これだけ普及したqPCR機器を応用すれば、混入DNAの検査はより簡便になるでしょう。コロナワクチン解析の法的規制の壁さえ無ければ、それも可能となります。
このように、異なるバイアルとロットを用いて行われたqPCRは、15.5〜20 Ct値です。精製法や実験手法が同一とは限らないので一概に比較はできないのですが、相当量のDNA汚染がある事は明らかです。
前回の記事でも触れましたが、McKernan先生が最初に報告したコロナワクチンへの大量のDNA混入について、先生が後に混入DNAの定量データを取り下げたとして、悪意ある曲解をSNSなどで流している人が見受けられますが、それは正しくありません。ブログ記事もデータも今現在もそのまま記載されています。そして、一般論として同一プレプリント内でデータを取り下げたりはしません。それどころか、DNA混入は独立した追試実験で確認されつつあります。
コロナワクチン混入DNAに関しては、特殊な状況が少なくとも3つあります。LNP内に封入されている事、シュードウリジン化RNAによって守られている事、SV40エンハンサーが含まれている事です。
DNase IによるDNA分解ではDNAは粉々になり、最終産物は1つ、2つ、3つ、または数個のヌクレオチド単位です (平均4ヌクレオチド)。本来このような状態ではPCR増幅も塩基配列決定もできないはずですが、ディープシークエンシングで配列を決められる程のDNAが「大量に」ワクチン内に残されていたのです。
LNP内に封入されている混入DNAは、そのまま細胞内に導入可能な状態にあります。シュードウリジン化されたRNAとハイブリッドになったDNAがDNase I耐性であるように、細胞内でのDNA分解活性にも耐性である事が考えられます。そして、そのままSV40エンハンサーによって細胞の核に輸送されます。このように混入DNAは細胞内に取り込まれやすく、細胞内で分解されにくく、核に輸送されやすい状態ですので、一般的なDNA導入実験と単純に比較できるものではありません。
混入DNAの害は長期に及ぶと考えられます。また、ワクチン混入DNAは抗原としても働く可能性があります。DNAが抗原と認識されて抗DNA抗体が産生されるようになると、深刻な自己免疫疾患の引き金になります。そして、DNAがゲノムに取り込まれると発癌や癌の悪性化の原因ともなり得ます。さらに深刻なケースとしては、生殖細胞のゲノムに取り込まれて遺伝子変異が子孫に伝わるという事態です。まさに機能獲得による人工進化の人体実験が大規模に行われていると言っても過言ではありません。
McKernan先生の実験の問題として、解析に使われたバイアルが匿名で郵送されて来たものだったという事があります。そのため、誰かが意図的にDNAを混入させたのではないか?という可能性も批判の理由でした。しかし、McKernan先生とは別のラボの独立した実験で高濃度のDNAが検出されました。しかも、Lee博士のラボはCLIAの資格を有するラボです。そのような独立した研究室が改めてDNA混入を検証し、再現したというのは重要な事実です。