スーパーに行っても外食に行っても減塩ばかりで味気ないものばかりですね。塩分を取り過ぎると血圧が上がって高血圧症から動脈硬化、そして脳卒中や心筋梗塞にという医療の知識は、今や一般社会にまで浸透しています。しかし、塩分を取り過ぎないようにすることが、ほんとに健康を実現するのでしょうか。健康診断で高血圧との診断を受けて、減塩と共に降圧剤を処方されて飲み続けている人が多いようですが、このことの問題は、血圧を下げてしまうと脳にまで十分な血流が届かずにボーッとしてしまうことですね。
世間で頻発している高齢者による車のブレーキ、アクセル踏み間違いや、走行レーン逆走などは降圧剤による影響が少なくないのではないかと思います。血圧を下げることによる副作用は他にもまだあります。結論から言うと、減塩は身体にとって健康を維持するものではなく、かえって不健康にしてしまうものだと私は考えています。その証拠というほどのものではありませんが、私は食事で塩分を控えることはしていません。
その代わり、食塩ではなく、海の塩を使うことにしています。沖縄のシママースを使っていますが、特に割高というほどでもありません。グルタミン酸ナトリウム(味の素)は身体に有害なので出汁は取らず味噌汁を作リますが、ミネラルの旨みもあるのでそれで十分です。余分な塩分は身体から排出されますし、沢山取ったからといって不健康になることもありません。
この習慣はすでに3年以上続けていますが、問題なく毎日を過ごせています。人の身体に塩分は欠かせません。食卓にある食塩を捨てて、海の塩を積極的に摂りましょう。
「塩分が高血圧の犯人」説を覆す衝撃的な論文とは
高血圧になるのを防ぐには塩分を控えるというのが多くの日本人が信じる定説だった。だが、いま、その定説を覆す新たな理論が注目を集めている。『脳梗塞・心筋梗塞は予知できる』の著者で、循環器に詳しい真島消化器クリニック院長の真島康雄医師は、こう解説する。
「高血圧をもたらすのは塩分ではなく、血管に溜まったプラークです。プラークとは脂肪の塊のことで、日本語では『粥腫(じゅくしゅ)』と呼ばれ、その名の通りお粥のようにドロドロしています。これが溜まって血管の内側が狭くなるから、そこを流れる血液の圧力が高まる。実にシンプルな理屈です」
そもそも、なぜこれまで「塩分」が高血圧をもたらす犯人とされたのか。『減塩が病気をつくる!』の著者でイシハラクリニック院長の石原結實医師はこう語る。
「塩分には、水を引き寄せる『吸湿性』があります。体内に取り込まれた塩分の吸湿性によって血液の全体量が増加すると、心臓が血液を押し出そうとするので確かに血圧が上がります。
ただし、体内の塩分量は一定になるよう調節されており、健康な人ならば、摂取した塩分はほぼ同じ量が尿や汗として排出されます。そのため、塩分摂取による血圧の上昇は一時的なもので収まる可能性があります」
「塩分容疑者説」が広まったのは、1954年に米国のダール博士が発表したある調査が発端だった。
ダール博士が日本の鹿児島と青森を含む世界5地域を調べたところ、1日の塩分摂取量が14グラムの鹿児島の高血圧発症率が20%であるのに対し、28グラムの青森では40%だった。そこでダール博士は、「塩分の摂り過ぎが高血圧につながる」と結論づけた。わずか5地域の調査には疑問の声も上がったが、当時は塩分と高血圧を結びつける考察は画期的だったため、瞬く間に世界中に広まった。
1972年には、米国のメーネリー博士が発表した、「10匹のラットに毎日20~30グラムの食塩を摂取させたところ4匹が高血圧になった」という論文で「容疑者説」は「塩分犯人説」に昇華する。
「しかし、このラットに投与された量も、人間に換算すれば500グラムに相当し、厚労省の推奨値の約63倍にあたる。つまり、非現実的で極端な前提に立つため、塩分が“真犯人”と結論づけるには至らなかった」(前出・石原医師)
◆減塩して血圧が上がった!?
そんな中で、高血圧と塩分は関連しないという調査結果が続々と発表される。中でも有名なのは、1988年にロンドン大学などが英国、日本など32か国、約1万人を対象に行なった大規模疫学調査「インターソルトスタディ」だ。
この調査では、1日の塩分摂取量が6~14 の人たちには、塩分摂取と高血圧に相関関係が見られないという結果が出た。
「日本高血圧学会が推奨する『1日6グラム』はおろか、日本人が平均的に摂取する『1日10~12グラム』を上回る塩分でも、高血圧の原因にならないことを示唆する結果でした。厚労省の調査によると、山梨、青森、福島、福井など寒い地方の食塩摂取量が多い一方、高血圧疾患による男性の死亡率は大阪、福岡、佐賀などが高い。食塩摂取量が少ない都道府県でも高血圧で死亡する傾向があることから、塩分と高血圧に因果関係があるとは言いにくい」(同前)
塩分と高血圧が関係しないどころか、「減塩で血圧が上がる場合がある」との研究結果も存在する。
1987年の米国のミラー博士らの研究報告によれば、正常血圧の男女82人を対象にして1日の塩分摂取量を9.2グラムから4グラムまで12週間にわたって減塩したところ、血圧値にほとんど変化のない人が53%、血圧が下がる人が30%、そして17%は逆に血圧が上昇した。
最も衝撃的だったのは、1985年に米国のアルダーマン医師が約20万人の生活調査を行ない、英国の権威ある医学誌『ランセット』に発表した論文だ。それによれば、塩分摂取量が最も少ないグループは脳卒中や心筋梗塞になりやすく、最も摂取量が多いグループ(8.94~12.80グラム)の脳卒中・心筋梗塞の有病率が最も低かった。
イタリアでは高齢の軽度認知症患者172人を対象に血圧と認知機能低下の関連が検証され、降圧剤で血圧が低くコントロールされた患者ほど認知機能が低下していたことがわかった。
また、降圧剤のなかでもARBやACE阻害剤、利尿剤などはインポテンツ(ED)を引き起こす可能性が高いとされる。この副作用は日本性機能学会が監修する『ED診療ガイドライン』に明記されている。2006年にギリシャで実施された調査では、降圧剤を服用した高血圧患者の40.4%がEDに罹患したという。また、1つの降圧剤よりも複数の降圧剤を併用している患者の方がED罹患率は高かった。
◆そもそも塩は人間に必要
一連の結果から、塩分が高血圧を招かないどころか、塩分の摂取量が少ないと血圧が上がったり、重篤な病気を招く危険性が示された。前出・石原医師が指摘する。
「そもそも塩は人間の生存にとって必要不可欠な栄養分です。世界の専門家から減塩のリスクが指摘されるのに、日本の医学界では塩分を目の敵にしたような十把一絡げの“減塩処方”が目立ちます。腎不全など腎臓に持病のある人を除いて、極端な減塩をすべきではありません」
塩分の評価が揺れることには、もう一つの理由がある。塩分を摂取しても血圧が「上がる人」と「上がらない人」がいることだ。
「食塩を摂取すると血圧が上がる体質を『食塩感受性』と言います。食塩感受性が高い人は、腎臓からナトリウムを排出する機能が弱く、塩分を摂取すると血圧が上がります」(同前)
1995年に東大の藤田敏郎教授が公表した調査では、日本人のうち食塩感受性が高い人は約2割、低い人は約5割とされた。日本人の2人に1人は塩分を摂っても血圧は上がらないという結果だ。しかし、どんな人が食塩感受性が高くなる(低くなる)のかは判明していない。
※週刊ポスト2017年12月22日号
医学界が塩分犯人説に拘る背景に「高血圧マフィア」の存在
高血圧になるのを防ぐには塩分を控えるというのが多くの日本人が信じる定説だった。だが、いま、その定説を覆す新たな理論が注目を集めている。『脳梗塞・心筋梗塞は予知できる』の著者で、循環器に詳しい真島消化器クリニック院長の真島康雄医師は、こう解説する。
「高血圧をもたらすのは塩分ではなく、血管に溜まったプラークです。プラークとは脂肪の塊のことで、日本語では『粥腫(じゅくしゅ)』と呼ばれ、その名の通りお粥のようにドロドロしています。これが溜まって血管の内側が狭くなるから、そこを流れる血液の圧力が高まる。実にシンプルな理屈です」
つまり、この説明によると「高血圧の原因は脂肪」ということになる。世界的にも塩犯人説を覆す研究結果が数多く発表される中、なぜ日本の医学界は、「塩分犯人説」に固執するのだろうか。その背景には、「降圧剤利権」の存在があるとされる。
◆「脂肪より塩」だと都合がいい?
「製薬会社や医師会など高血圧によって利権を得る集団は欧米で『高血圧マフィア』と呼ばれ、高血圧の基準値が下げられるような強烈なロビー活動などを続けてきました。日本でも既得権に固執する勢力が大きな影響力をふるっています」(大櫛医学情報研究所所長で東海大学名誉教授の大櫛陽一氏)
彼らにとっては、“塩分犯人説”のほうが都合が良い。前出・真島医師はこう見る。
「体重を減らして血管中のプラークを除けば、確実に血圧が下がることは私が多くの患者を診てきたなかでもあきらかです。しかし、そうして高血圧患者が減ると、高血圧市場が縮小するため、塩分を犯人に仕立てている」
現在、『高血圧治療ガイドライン2014』は、「食塩摂取量が多くなると血圧が高くなる」として「国民全体におけるさらなる減塩の推進が必要」と強調する。また高血圧の治療法については、「多くの高血圧患者には薬物治療が必要である」と記述されている。
このガイドラインに従い、日本における高血圧の治療対象者は1000万人を突破、70歳以上では5割以上が降圧剤を処方されている。ガイドラインのなかで治療法とされている降圧剤には様々なタイプがある。
「利尿剤」は降圧剤の中でも国内で最も多く服用されているタイプだ。体内の水分を排出することで血液量を減少させて血圧を下げる。利尿剤に限らず、降圧剤で大きな問題となるのは、あくまで対症療法でしかないことだ。その効果は、種類にもよるが短ければ24時間とされている。
「降圧剤を飲まないと上の血圧が160ぐらいでした。それが、利尿剤を飲み始めてからは140ほどで安定してきたので、医者に『そろそろ降圧剤を辞めていいですか?』と尋ねたら、『元に戻るからずっと飲み続けてください』って……お金もかかるし、一生飲み続けなきゃいけないと思うと憂鬱です」(66歳、男性)
『減塩が病気をつくる!』の著者でイシハラクリニック院長の石原結實医師の解説。
「もちろん、血圧が180を超えるような重篤な状態の場合はただちに降圧剤を服用すべきですが、基本的には降圧剤を長期間服用しても対症療法のため、高血圧が完治することはありません。それでもいったん始めた服用をやめれば血圧が上昇し、合併症として脳梗塞や心不全を起こす可能性が生じます」
注意すべきは減塩と同じく、降圧剤に様々な健康リスクが指摘されることだ。
「降圧剤で血圧を20mmHg以上下げると、血流が悪くなって血栓を生じ、血管を詰まらせて脳梗塞を引き起こす怖れがあります。他にも薬がもたらす低血圧により、ふらつきや転倒、入浴中の溺死や交通事故などを引き起こすリスクがある。また最近の研究では、脳内の活動が阻害され、高齢女性の認知能力低下の発症率が1.3倍になると指摘されています」(前出・大櫛氏)
減塩が命を脅かす可能性も指摘されている。米ラッシュ大学メディカルセンターのダッキー博士の研究では、833人の心臓病患者について調査したところ、減塩食療法を受けている患者は、受けていない患者に比べて死亡リスクが69%、入院リスクが68%高かった。
つまるところ、降圧剤は万能どころか長期にわたる服用が前提となり、様々なリスクが指摘される。
※週刊ポスト2017年12月22日号
【和田秀樹×大脇幸志郎】異色医師対談「高血圧治療の減塩はやめてもいい」
ヘルスケア機器を手掛けるオムロンの調査(2017年実施)によると、全国30~74歳の男女1万人のうち、3人に1人(32.1%)が健康診断で「血圧が高め」と指摘された経験があるという。
日本高血圧学会などの調査(2022年)では、2014年時点の日本の高血圧患者数は約2700万人だった。まさに“国民病”であり、それに伴って数値を下げるために複数の降圧剤を服用する多剤併用の問題なども起きている。
多くの人が血圧の数値に一喜一憂する現状があるなか、「気にする必要はない」と語る医師がいる。【和田秀樹×大脇幸志郎】異色医師対談「高血圧治療の減塩はやめてもいい」|NEWSポストセブン (news-postseven.com)