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— ペポ🗣 (@peponaaru) March 12, 2023
超過死亡に関する海外からの最新情報
小島 勢二 名古屋大学名誉教授
わが国では、昨年来超過死亡の激増が観察されているが、事情はヨーロッパでも同様である。ヨーロッパ諸国において、コロナの流行は昨年後半には収まりつつあったものの、12月の超過死亡率は、2016年から2019年の平均と比較して19%の増加が見られた。
図1に示すように、ヨーロッパ諸国の中でも、国による差が著しく、ドイツ(37.3%)、オーストリア(27.4%)、フランス(24.5%)と高い超過死亡率が観察された国から、ブルガリア(-6.0%)のように超過死亡率が観察されなかった国まで見られた。
超過死亡の要因としてコロナワクチンの関与も挙げられてはいるが、多くの論調はその関与について否定的である。
ワクチンの関与を否定する根拠として、世界各国における超過死亡とワクチンの総接種回数との相関が示されている。図2は、国別に所得で色分けし、さらに人口を円の大きさで表示している。縦軸は2021年1月から2023年1月までの人口10万人あたりの累積超過死亡を、横軸は2021年1月から2023年1月までの100人あたりの初回と追加接種を合計したワクチンの総接種回数を示す。
上の全期間の累積ではワクチンの接種回数が増えると超過死亡は減少する傾向が見てとれる。一方、下の2022年12月と2023年1月の最新データに限定して解析すると、ワクチンの接種回数が増えると、かえって超過死亡は増加傾向が見られる。
加えて、超過死亡の増加の要因としてワクチンの関与を否定する根拠として米国と英国における超過死亡率とワクチンとの経時的変化が用いられている。図3に示すように、両国においてコロナの流行開始期に超過死亡は急上昇したものの、ワクチン接種が開始された2021年以降は、頭打ちあるいは減少傾向が見られる。ワクチンが死亡リスクを増加させるなら、超過死亡率はワクチン接種と連動して増加するはずである。
ドイツとフィンランドにおける超過死亡率とワクチンの追加接種回数の経時的変化も示されている。米国と英国の場合は、1回目と2回目の初回ワクチン接種が済んだ総数を指標としているが、ドイツとフィンランドの場合は、100人あたりの3回目、4回目の追加ワクチンの接種回数を指標としている。米国や英国とは異なり、ドイツとフィンランドでは、2022年に入って、ワクチンの追加接種と連動して、超過死亡の増加が見られている。
英国放送協会(BBC)も、英国において、2022年の6月以降に、超過死亡が激増したことを報道しているが、その要因としてワクチンの関与を否定している。
「ワクチン接種後に増加することが知られている心筋炎・心膜炎は若年成人に見られる稀な疾患である。超過死亡は、主に高齢者の死亡の増加が原因なので、心筋炎・心膜炎の増加のみで、超過死亡の増加を説明することはできない」というのがその主張である。
ワクチン接種後に見られる心・血管系の病気は、心筋炎・心膜炎に限ったわけではないので、上記の理由で、超過死亡とワクチンの関与を否定するのは納得し難い。
また、ワクチン未接種群はワクチン接種済み群と比較して死亡率が高いことも理由に挙げている。しかし、図4に示す英国統計局の最新データによれば、2022年のワクチン未接種群の全死亡率は、接種から6ヶ月以上経過した2回接種済み群と比較して、一貫して下回っている。なお、未接種者と2回接種者のワクチン接種からの観察期間が異なるので、死亡率は人年法で計算されている。
図1に示したように、2022年12月にヨーロッパ諸国で観察された超過死亡率は国によって、大きな違いが見られた。
そこで、2022年12月のヨーロッパ各国の超過死亡率と2022年11月末までの100人あたりのワクチン追加接種回数との相関を検討した。その結果を図5に示すが、超過死亡率とワクチンの追加接種回数とは正の相関を示した。すなわち、ワクチンの接種回数が多いほど超過死亡は増加した。
図6は、日本におけるコロナの流行が始まってから過去3年間の超過死亡の推移を示す。超過死亡はEurostatに準じて、2015年から2019年の平均死亡者数との差で算出した。
多くの国では、コロナの流行が始まった2020年から超過死亡が観察されたが、日本では、2020年には超過死亡はみられず、かえって過去5年間と比較して死亡者数は減少した。日本の超過死亡は、ワクチン接種が始まった2021年から観察されるようになった。更に、再現性をもって、ワクチン接種の開始から数週間後にピークが見られ、とりわけ、2022年になって、3回目、4回目、5回目の追加接種後の増加が著しい。
ヨーロッパにおいても、2022年後半期から超過死亡が激増し、その要因が検討されている。わが国の超過死亡の要因を検討するにあたって、ヨーロッパ諸国の動きは目を離すことができない。