拡散代謝阻害剤のモルヌピラビル:商品名:ラゲブリオがウイルスの新しい変異を引き起こしていることが指摘されました。日本でも公費負担でコロナ患者に乱用しているため、変異株が出来やすい状態になることが心配されます。この薬は以前から副作用の問題があり、危険性が指摘されていました。
メルクのコロナ飲み薬、新たな変異株の出現に関係か-米英研究者
- 「ラゲブリオ」服用した患者の一部から新たな変異株
- 変異株出現を引き起こしたことを示す証拠ないとメルクは反論
米メルクの新型コロナウイルス飲み薬「ラゲブリオ」を服用した患者の一部からコロナウイルスの新たな変異株が見つかった。米英の研究者が論文で発表したもので、病原体の遺伝子情報を意図的に変更することに伴うリスクが浮き彫りになった。
一部の研究者はラゲブリオによって感染力や毒性がより強い変異株が出現する可能性を懸念している。
論文は米国やフランシス・クリック研究所、インペリアル・カレッジ・ロンドンなど英機関の研究者がまとめたもので査読は受けていない。medRxivのウェブサイトに掲載された。それによると、ラゲブリオの投与に関連する変異が数十人の患者のウイルスサンプルから見つかった。
ラゲブリオは、ウイルスRNAの複製エラーを増加させることでウイルスの増殖を阻害し、重症化に至るリスクを減らす。一部の科学者はラゲブリオが2021年後半に承認される前から、その作用機序から問題を引き起こす変異の増加につながる可能性があると指摘していた。今回の論文でそうした懸念が再燃した。
メルクはラゲブリオが問題ある変異を引き起こしているとの見方に反論。広報担当のロバート・ジョセフソン氏は論文に関する質問への電子メールでの回答で、「いかなる抗ウイルス薬についても、広がりつつある変異株の出現につながったことを示す証拠はない。入手可能なデータに基づくと、ラゲブリオ(モルヌピラビル)がコロナウイルスの新たな変異株の促進に寄与した可能性が高いとはわれわれはみていない」とコメントした。
同氏はさらに、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の過程で、ウイルスが制御不能なほど拡散したことで新たな変異株が出現したと指摘。ラゲブリオが解決への重要な貢献が可能だと主張した。動物実験ではラゲブリオが変異を引き起こさなかった点にも言及した。
原題:Merck Covid Drug Linked to New Virus Mutations, Study Says (1)(抜粋)
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ラゲブリオについて井上正康先生の解説です。
メルクのラゲブリオ(モヌルピラビル)やファイザーのパキロビットバックは、いずれも核酸代謝阻害剤である。妊婦や胎児などで奇形が危惧されている。パンデミックの恐怖症のもと、遺伝子ワクチンと同様に緊急承認された薬である。このために妊婦などへの投与は認められていません。SARSやMARSのように致死率の高いウイルスに対しては一定の効果が期待されるが、圧倒的多数は無症候性感染であり、ごく一部が軽症になるというオミクロン株が感染の主体となっている現在では、デメリットの方が大きいので使用すべきではない。
米メルク社(MSD)ラゲブリオ(モラヌピラビル) 軽症、中等症対象薬。無償配布43万人以上に投与。9月16日から一般流通へ
これはメルク社の核酸代謝阻害剤でウイルス増殖を抑制し、重症化リスクのある軽症から中等症の患者が対象の飲み薬として特例承認された。感染して、発症して、ウイルスが増殖する、この3つが同時に起こるのがインフルエンザで、このインフルエンザのような感染症では利用価値がある。しかし、大半が無症状で経過するオミクロンに核酸代謝阻害剤は害あって益少なしである。事実、これまでに43万人のコロナ患者に投与され、多くの副作用や死者を出している。
オミクロン時代には喉風邪の早期治療が基本であり、安全性不明の特例承認薬を使うのは危険である。
塩野義コロナ治療薬ゾコーバ:治験で改善効果を確認。
本薬剤はコロナウイルスの増殖に必須の、タンパク分解酵素3CLを阻害してウイルス増殖を抑制する。メルク社のラゲブリオ(モラヌピラビル)などの核酸代謝阻害薬のような催奇形性も無く、1ヶ月弱で特例承認されたファイザー社のパキロビットのように降圧剤や抗凝固薬など約40種類と併用できないクスリと比べてゾコーバのメリットは大きい。しかし、発症しても大半が喉風邪の症状で数日間で自然治癒するオミクロンに対して、回復時期が1日短縮されることの意義は少ない。