日本とイスラエル、4回目接種は効果があるのか?/犬房春彦(ルイ・パストゥール医学研究センター/医師・医学博士)
日本では新型コロナウイルス感染拡大の流行「第7波」を受けて、60歳以上などに限っていたワクチンの4回目接種について、年齢を問わず全ての医療従事者や高齢者施設職員約800万人を対象に拡大するとの報道がありました。ワクチンの接種を世界有数のスピードで進めたイスラエルでは2022年7月現在どのような状況になっているのか?またワクチン4回目接種の効果についてお話しました。
今日は4回目接種、日本とイスラエルについてお話をします。そして4回目接種は効果があるのかについても考えてみます。
1.4回目接種医療従事者に拡大
2.イスラエル4回目接種の効果は?
3.イスラエルのコロナ死者今回も爆増中
4.酸化ストレスを下げて免疫を上げよう
日本は4回目接種を医療従事者に拡大するとの報道がありました。イスラエルの4回目の効果を見てみましょう。ワクチン先進国イスラエルのコロナ死者ですが、今回も爆増中です。
イスラエルと日本の感染者数を見てみましょう。7月17日現在、イスラエルでは1万人感染。日本では10万人ということで、人口差が十数倍あるので、これはほぼ同じような数値だと考えて下さい。
ワクチン接種の状況を見てみましょう。イスラエルは2回以上のワクチン接種をされている方が66.7%。日本では81.4%で、今では日本の方が多くなってしまっているんですね。
イスラエルと日本の3回目ブースター接種率をみてみましょう。このブースター接種のグラフで、私が注目しているのは時間差です。人口の40%を越えた時期のイスラエルと日本を比較しますと、約6ヶ月間の時間差が存在します。つまり、日本は3回目接種が半年遅れたわけです。
では、イスラエルと日本のコロナの死者数を見てみましょう。前回のビデオでは2022年2月2日時点なので、この赤線の部分のデータをお示ししています。そして、そのピークが下がった後、今イスラエルでは死亡者数がドンドン増えている状況です。日本はまだ低い状況なのですが、半年の時間差を考えますと、これが上がってこないことを願うばかりです。
イスラエル4回目接種でイスラエル工科大が論文を発表しています。4回目接種をすると、オミクロン株に対する感染予防効果が『一時』高まるが、その後は急に弱まるという内容です。4回目から1ヶ月後には、3回のみの場合と比べ感染リスクが半減したが、2ヶ月後には差がほぼなくなった。つまり、2ヶ月しか効果がないわけですね。そして重症化リスクは、1ヶ月後の時点で7割減となりそれから半月は効果を保っていた。さらに長続きするかどうかは不明だということで、
この結果は米国の非常に権威のあるニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに掲載されています。
これは今年の1月の報道ですが、EUの医薬品規制当局ですね。3回目ブースター接種を頻回に行うと、免疫系に悪影響を及ぼすおそれがあると警告しており、この方針は欧州では変わっておりません。
コロナウイルスに感染すると、ROS:酸化ストレスが身体の中で増えていき、免疫の暴走と言われるサイトカインストームを引き起こして重症化するという図です。ワクチンを打っても同じように酸化ストレスが増えて、色々な症状が起きることが明らかになっています。
酸化ストレスを下げるには、炎症・酸化ストレス上昇のイベントを避ける。禁煙、大量のお酒を飲まない。肥満、糖尿病のある方は糖質制限をする。十分な睡眠を取り、精神的ストレスを下げるのも有効だと思います。また、エビデンス(科学的根拠)のある抗酸化サプリメントの摂取も効果があると私は考えています。
現在新型コロナ感染症の後遺症・ワクチン副反応の症状に悩む方に、私の開発した抗酸化配合剤の無償提供を行っています(動画で確認して下さい)。
当該の記事です
4回目接種、効果は早期に減衰 イスラエル工科大などが発表
【ワシントン共同】米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンの4回目接種をするとオミクロン株に対する感染予防効果が一時高まるが、その後は急に弱まるとの研究結果をイスラエル工科大などのチームが5日発表した。60歳以上を対象にした分析で、4回目から1カ月後には3回のみの場合と比べ感染リスクが半減したが、2カ月後に差がほぼなくなった。 コロナワクチン技術の開発者に「ガードナー賞」
一方、重症化リスクは1カ月後の時点で7割減となり、それから半月は効果を保っていた。さらに長続きするかどうかは不明だとした。結果は米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された。
ブースター接種繰り返し、免疫系に悪影響の恐れ
欧州連合(EU)の医薬品規制当局は11日、新型コロナウイルスワクチンのブースター(追加免疫)接種を頻繁に行うと免疫系に悪影響を及ぼす恐れがあると警告した。
欧州医薬品庁(EMA)は、4カ月ごとのブースター接種を繰り返すと最終的に免疫力が低下する可能性があると指摘。各国はブースター接種の間隔をより空け、インフルエンザ予防接種戦略で示された青写真のように寒い季節の到来に合わせるべきだとの見解を示した。
オミクロン変異株、数週間で欧州人口の半数以上が感染も-WHO
オミクロン感染が急速に広がる中、一部の国は2回目のブースター接種を行う可能性を検討している。イスラエルは今月に入り、60歳以上を対象に4回目のワクチン接種(2回目のブースター)を開始。英国は現時点では2回目のブースターは必要ないが、必要に応じてデータを見直すとしている。
ブースター接種についてEMAでワクチン戦略などの責任者を務めるマルコ・カバレリ氏は「一度や二度ならともかく、何度も繰り返すべきと考えるものではない」と指摘。「現在のパンデミック(世界的大流行)の状況から、よりエンデミック(地域的流行)の状況にどう移れるかを考える必要がある」と記者会見で語った。
原題:Repeat Booster Shots Spur Europe Warning on Immune-System Risks(抜粋)
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著者:Irina Anghel