新型コロナウイルス

井上正康先生:感染予防効果はないが、重症化予防効果があるとしているのに、データを示せていない厚労省

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2月28日(金)よる8時生放送
記念すべき第50回のゲストは坂東忠信さんです。
元警視庁で長年中国人犯罪の捜査と通訳に携わってきた経験から、退職後は外国人犯罪のエキスパートとして活躍中。
『中国人ビザ緩和問題を考える。医療ツーリズムの実態とは?』をテーマに対談いたします。
ご視聴はこちらから↓↓↓

 

【プランデミックの正体Q &A-9 Vol.137】

井上 正康 大阪市立大学名誉教授

①絶対に議会承認はあり得ないとされてきたケネディJrがついに厚生長官に承認されましたが、反対を押し切ることができた理由は何だとお考えでしょうか。共和党内にも反対票を投じた人がいるようですが、反対派はおしなべて製薬利権と関係していると考えてよいでしょうか?新型コロナワクチン反対は米国民の多数意見になっているのでしょうか?・米厚生長官にケネディ氏が就任 上院の承認投票では与党重鎮が反対
 
A) 米国上院の承認投票でロバート・F・ケネディ・ジュニア氏が13日に厚生長官に就任した。 今後、ケネディ氏は約8万人の職員と1兆ドルの予算を持つ保健機関の指揮を執る。その範囲は、疾病対策センターCDC、食品医薬品局FDA、国立衛生研究所NIH、メディケア・メディケイド・サービスセンターCMSの管理に加え、食品の安全性、医薬品、公衆衛生、予防接種などの健康産業も管轄する。ケネディ氏については、ワクチン懐疑論や人工妊娠中絶に対する立場などが問題視されていたが、賛成52、反対48で承認された。「反対派が全て製薬利権と関係しているか否か」は不明であり、その中には科学的か否かは別にして自分の常識的判断で反対している者もいるであろう。しかし、「騙される方が悪いとの文化を生き抜いてきた大陸系民族では、新型コロナワクチンの危険性に多くの米国民が気付いてきた」と考えられる。それに加え、「リベンジを含むトランプ大統領の強烈な方針と指導力」が「ケネディJr厚生長官承認に対する反対を押し切ることができた主因」と考えられる。
 
②一見、新型コロナワクチンをとめる方向の政策にみえますが、ワクチン義務化を排するのは個人の自由を尊重する政治的立場からのものであり、第一次政権ではトランプ氏はワクチンに積極的だったという記事です。トランプ氏のワクチンに対するスタンスが気になりますが、実際にはどうなのでしょうか。・ワクチン義務の学校に支援停止 新型コロナのみ トランプ米大統領
 
A) 第一次トランプ政権では「ファウチの意見が強く影響してワクチンの開発や製造」を積極的に進めた。しかし、その失策に気づいたトランプ大統領は「新型コロナウイルスのワクチン接種を義務化した学校に対して連邦政府の補助金を停止する大統領令」に署名した。その適用はコロナのみであり、ポリオや麻疹(はしか)などは対象外である。現在では接種を義務化している学校はほとんど無いので影響は小さいと思われる。個人の自由を重視する保守層の間では義務化に対する反発が強く、政治的な意味合いも強い。尚、コロナ以外のワクチンに関しては「現代の科学的水準で『マトモに検証されたワクチンは少ない』ので、ケネディーJrによりその科学的検証がなされ、「本当に有効かつ安全で必要なワクチンのみを残す政策」になる事を期待したい。
 
③コロナウイルス起源説は米トランプ政権の武漢研究所説とは逆に、依然として自然発生説が根強いようです。次の記述について、先生のコメントをお願いします。「これまでの科学研究はおおむね、野生動物を扱う武漢市の華南海鮮卸売市場で動物から人間にウイルスが広まったとする説を支持している。2024年9月、米国とフランスのチームが流行初期に市場で採取された試料の遺伝情報の解析結果を米科学誌セルに発表した。タヌキやハクビシンなどが起点になった可能性が高いと指摘した。」・コロナ「震源地」中国武漢の今を歩く。トランプ政権発足で「中国ウイルス」の批判再来とくすぶる両国間の火種
 
A) 第2次トランプ政権が発足し、第1次政権時と同様に「新型コロナの起源を巡り『中国ウイルス』と呼んで両国の対立が再燃する火種」もくすぶる。WHOの国際調査団は2021年1月末に「華南海鮮卸売市場」を視察したが、今尚ウイルス起源を突き止めていない。2024年9月に米国とフランスのチームが「流行最初期に市場で採取された試料からタヌキやハクビシンなどが起点になった可能性が高い」と指摘した。一方、英科学誌ネイチャーでは「武漢研究所の担当者がコウモリからウイルスを収集したことを認めたが、中国外務省の林剣副報道局長は「米最終報告書は中国を陥れる政治的操作で信頼性はないと反発し、中国への侮辱をやめるように」と米側に要求した。現時点では「遺伝子解析から『新型コロナが遺伝子操作により機能獲得試験の産物である事』は疑問の余地がない。しかし、その背景には「ファウチ博士を中心とする米国の公金が関与していた事実や新型コロナが米中をはじめとするグローバリストと軍産複合体の産物である事実』があり、新型コロナの誕生に関しては『米中は目糞鼻糞的関係』である。
 
④トランプ政権発足で、コロナ発生責任を巡る米中間戦争が実際に激化しそうでしょうか?かつてトランプ氏は中国に賠償責任を求めていたと記憶していますが?
 
A) 「新型コロナの誕生に関してはトランプ政権下で『開発資金の流れ、関係者、両国が共犯関係である事実』などが次々に明らかにされつつある。その為、トランプ大統領は「駆け引きに有利な情報のみを利用しながら対中国的政策を進める可能性が高く、その点ではコロナ発生責任を巡る米中間戦争が激化する可能性」は低いと思われる。
 
⑤トランプ氏のWHO脱退方針はワクチン利権というよりも、この記事にあるような「WHOがウイルス起源も解明できない中国寄りの組織であること」によるものなのでしょうか?・「コロナの責任」は中国にあり…!トランプが確信する「武漢研究所流出説」で追い込まれる中国経済、最悪の末路
 
A) トランプ大統領が仕掛ける関税戦争は疲弊している中国経済をさらに混乱させかねない。中国は不動産バブルの崩壊でデフレ圧力が高まり、輸出拡大でしのごうとする中国政府の方針が関税戦争で断ち切られる可能性が高い。期待された「電気自動車最大手BYDにも不都合な真実」が明らかになっている。BYDの実質的負債は昨年6月末で約6兆4600億円に達しており、不動産業界の二の舞を踏むリスクが生じている。トランプ氏はそんな中国に「パンデミックの責任」を問おうとしている。米国政府は「中国企業がフェンタニルの主原料である前駆体を生産し、これをメキシコの麻薬組織がフェンタニルに仕上げて米国に密輸している」と考えている。メキシコやカナダがフェンタニルの密輸対策強化を約束したが、主犯格の中国は「有効な協力を行ってきた事実を無視したと反発し、トランプ氏は「フェンタニル問題に関する非常事態を宣言し、習主席との会談でフェンタニルの規制強化を要求」した。中国政府は一時トランプ氏の要求を受けて国内企業の取り締まりを強化したが長続きしなかった。これに対してトランプ氏は「中国は信用できない」と強硬手段に打って出たと考えられる。トランプ氏が「チャイナ・ウイルス」と呼んでいるように、中国への措置は「報復」の色合いも強く、次の標的は「新型コロナウイルス」の可能性が高い。トランプ氏は大統領就任初日にWHO脱退に向けた大統領令に署名したが、「中国よりのWHOに対する不満」がある。米国中央情報局CIAの新長官に就任したラトクリフ氏への忖度で、CIAも「新型コロナの起源について武漢ウイルス研究所から流出した可能性が高い」と見解を変更した。ラトリック氏は「保守系シンクタンクのヘリテージ財団で新型コロナのパンデミックに対する中国の責任を追及する報告書をまとめ、『新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所から流出した』と断定し、『それによる米国の経済的損失は18兆ドル(約2700兆円)に上る。中国政府にこの損害の賠償を求めるべき』としている。これに対して中国政府は「米国側の主張は信憑性がない」と真っ向対立している。中国政府が責任を認めない限り、トランプ政権は追加の関税を課すことによって新型コロナの賠償を求め続けることになるかも知れない。
 
この記事について、
⑥これはなぜなのでしょうか?→「特にリスクについて公の場で語る医師は非常に少ないです。取材した医師からは、ワクチンについてマイナスのことを言うと仕事がしづらくなるという声が多く聞かれました。」
 
A)日本の医療文化では医師同士がお互いに批判せず、この傾向は同調圧の強い医学界では特に強く、特に医科大学では「お上が進めるワクチン政策に反対すると補助金や研究費が貰えなくなる事」が縛りとなり、「医師としての倫理観よりも流れに任せるヒラメ族的傾向が強く、今回の様に国民を見殺しにする結果をもたらした」と考えられる。
 
⑦当然のことかと思いますが、現場の医師の中には、同様のことに気付いている方が多いのではないでしょうか?→「特別養護老人ホームの嘱託医をやっていたが、3回目を打った1週間後くらいから入所の方々の体調不良が続出した。これはワクチンのせいではないかと。コロナ陽性の患者さんにワクチン接種歴を聞いていたが、3回打った後に『あまり効いてないよね』『打ってもかかっているよね』という方もいたので、これはやめようと」
 
A)2回接種者ではむしろコロナに罹りやすくなる傾向に多くの医師が気付いているが、お上の方針に竿を刺す医師は少ない。事態に気づいた良心的な医師も「その事を発言すると調和を乱したり経済的に不利になる事」から、黙認する者が少なくない。今回のmRNAワクチンは“ワクチンではなく、ワクチンと詐称された毒物である事実”は多くの医学論文で証明されている。その様な状況の中でも良心的な医師は「表立って反対はしないが、積極的に接種することは控える」との消極的態度が少なくない。
 
⑧この記述は何を意味するものでしょうか。→「厚生労働省のデータを見てみましょう。人口10万人あたりの新型コロナ新規陽性者数を年代ごとの接種歴を見ると、2回接種済みの方が、未接種や3回目接種済みの方より多いケースが目立ち、3回接種した人も新型コロナに感染していることがわかります。このデータは2022年8月末時点のもので、厚生労働省のホームページでも公開されていましたが、現在は公開されていません。」・「私がコロナワクチン接種をやめた理由」現役医師が告白
 
A) 「厚労省はデータが揃っておらず、接種率を出せない」との奇妙な事で、名古屋市のワクチン接種率を見た大石アナは「1回目、2回目は90%以上だったが、その後接種率が下がってきて8回目の定期接種は2%になった」と伝えた。厚生労働省は「感染予防効果はないが、重症化予防効果がある」としているが、その様なデーターを示せていない。取材した医師から「ワクチンについてマイナスのことを言うと仕事がしづらくなる」という声が多く聞かれた。愛知県高浜市の『つばさクリニック』の石川亨医師は「3回目までは患者にも周りの医師にもワクチンを勧めていた」が、「特別養護老人ホームで3回目を打った1週間後くらいから体調不良者が続出し、ワクチンのせいと思い、接種を止めた。今は接種に反対で、地元住民を対象にしたワクチンの副反応に関する勉強会も定期的に開いている。厚生労働省のデータを見ると、2回接種済みの方が未接種や3回接種済みの方より多く、3回接種した人も新型コロナに感染している。このデータは2022年8月末時点のもので、厚生労働省のホームページでも公開されていたが、現在は公開されていない。今回もワクチン被害を隠蔽する厚労省の体質は全く変わっておらず、むしろ「データーの改竄や隠蔽で極めて悪質になっている事実」が明らかになっている。
国民の命を犠牲にする厚労省は財務省と同様に解体されるべき状態である。
 
⑨新型コロナの方がインフルエンザより死亡率が高いとの米国の研究ですが、これをそのまま日本の2020年の超過死亡マイナス現象にあてはめると、ウイルス干渉の理論が否定されてしまいかねません。この論文の信憑性はどのように見ればよろしいでしょうか。・新型コロナウイルスは今でも危険? 感染後の死亡は3%近いとの論文が
 
A) 最近では新型コロナウイルス感染症の報道を聞く機会は無く、むしろインフルエンザの感染拡大がニュースとなっている。軽症化した新型コロナと季節性インフルエンザの感染はどちらが重症になりやすいのか?今年の米国医学誌に「新型コロナの軽症化が想定される23年から24年の時期でもインフルエンザより新型コロナの方が死亡リスクは高くなっていた。具体的には3%近い人が新型コロナで死亡したが、今では普通の風邪になった」と報告されている。しかし、新型コロナの死亡例の多くは遺伝子ワクチンによる薬害である。非接種者では“ウイルス干渉現象”は正常に発現するが、免疫系が異常になった頻回接種者では逆に日和見感染にかかりやすくなっている。世紀の大失策を激奨した医学会は「“ワクチンと偽証された有毒遺伝子製剤の薬害”に対して科学的に対応し、真摯に患者救済に努力すべき」である。海外では遺伝子ワクチンの製薬企業に対する訴訟が多発し、トランプ大統領とケネディーJrの厚労行政でその事が明白になるであろう。

 

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3月2日(日)
感染症対策と体調不良の治し方
①みつぎいこい会館 尾道市御調町大田71-1
10:00〜12:00
②栗原北公民館 尾道市美ノ郷町三成3158-2
15:00〜17:00
※いずれも参加費無料 予約不要 定員70名
 

※ 記事の掲載期間が3月2日11:41までだということなので、急遽全文掲載します。

コロナ後も続く「面会制限」と日本社会の思考の癖 磯野真穂さん寄稿

人類学者・磯野真穂さん寄稿

 日本全国の多くの医療施設で、コロナ禍と同様の厳しい面会制限が続けられている。

 朝日新聞においても、制限により父の最期に立ち会えず、つらい心のうちを吐露する女性の記事が掲載された。さらには面会制限についてのアンケートも実施され、1千件近くの回答のうち90%近くが緩和を望むという結果も公表されている。

 また精神科在宅医療サービス「ACT-K」の代表で精神科医の高木俊介氏、および静岡市立静岡病院感染管理室長・岩井一也氏らによるウェブサイト「やめよう、病院・施設の面会制限 いつまで続けるの?」も公開された。緩和を望む声は高まっているといえる。

 日本の面会制限緩和の動きに賛同する一人として、面会制限についてもう少し詳細な批判的問いを投げてみたい。

 それは面会は家族に限るとか、15分のみとか、面会場所は病室でなくミーティングルームといった、病院側が面会制限の際に設ける細かなルールの妥当性である。これらについて文化人類学の観点からひもとき、日本社会の思考の癖を読み解いてみたい。

「面会は許可できない」

 長野県に住む68歳の田中春子さんには、81歳の友人・木村芳恵さんがいる(共に仮名)。夫に先立たれ、娘は東京にいるため木村さんは一人暮らしだ。2人は長い友人で、誕生日を祝ったり、晴天時にはドライブに出かけたり、温かい交流を育んでいた。また2人が暮らす地域は車がないと大変不便であるが、木村さんには免許がない。このため田中さんは、木村さんの急病時の通院や、重いものを買う必要がある時など、送迎を買って出ていた。

 木村さんは田中さんに恐縮をしつつも大変感謝をしており、娘にも田中さんのことをよく話していた。その結果、田中さんは木村さんの娘の喜子さんとも親しくなり、連絡を取り合う間柄となった。「うちの母は、田中さんの娘さんのことを、まるで自分の娘であるかのようにうれしそうに話すんですよ」と喜子さんから言われたこともあるという。

 そんな折、木村さんは脳梗塞(こうそく)になってしまう。軽症ではあったがしばらくの入院が必要となった。喜子さんは帰省の回数を増やし、母のお見舞いに定期的に通った。しかし仕事などの事情でしばらく帰省ができなくなったため、喜子さんは田中さんに、代わりにお見舞いに行ってもらえないかと依頼をした。木村さんを案じていた田中さんは、もちろん二つ返事で了解する。しかしその後、喜子さんからおわびの連絡が届いた。「田中さんは木村さんの家族ではなく、また終末期でもないから面会は許可できない」という病院からの回答があったためだ。

 その病院もまた、日本全国の多くの病院と同様に厳しい面会制限を設けていた。面会時間はあらかじめ面会許可時間として設定されたうちの10分、面会して良いのは家族のみ2人という決まりである。喜子さんは、自分の事情のみならず、母と田中さんの関係も説明した上で、面会許可をしてくれるようお願いをした。しかしそれでも病院は許可を出さなかった。

 田中さんは、次のように話す。

 長野のような田舎では、子どもが親と離れて住んでいることが多く、遠くの家族より近くの友人とより親しいということは珍しくない。面会をする場合には、マスクをちゃんとつけ、静かに行動する。大勢で押しかけるわけでもなければ、毎日通い詰めるわけでもない。そもそも、家族が良いなら、なぜ友人はダメなのだろう。家族というだけで感染リスクが下がることなどあるわけがない。

 田中さんの言い分はもっともである。

 2020年、新型コロナは世界を大混乱に陥れた。しかし蔓延(まんえん)した病気は同じであるにもかかわらず、各国の対応は大きく異なった。考え方や行動の仕方の基盤として、それぞれの地域にデータベースのように存在する文化が、各地域の対応の違いを生み出す原動力となったのである。

写真・図版
コロナ禍で「面会禁止」の貼り紙が掲げられた病院=2020年

 日本は、罰金や逮捕など、法による強い拘束力を用いることなく、「お願い」ベースで全国的な感染対策を実施した社会として知られている。しかしそれは言い換えれば、上からの管理の代わりに、国民同士の相互監視に感染対策の行く末を委ねたということだ。また、相互監視の他に注目すべき点は、県内と県外など、「ウチ」と「ソト」の境界を強力に作り上げ、感染という悪はソトから持ち込まれるのであるという世界観を作り上げたことである。

 感染初期の頃であれば、人間のありがちな反応として理解できる。しかし感染が全世界・全国で広がった状況において、ソトを過剰に警戒する防御はどう考えても無意味。ところが日本はその状態になってからも、ウチとソトの考えを持ち出し、感染拡大を理解しようとした。県外の人と交流した事実をもって、その感染を「県外由来の系統」と名付けてみたり、「鎖国2.0」「外国人嫌悪」と名付けられるほどの厳しい水際対策を2年以上も続けたりといった対策がその例である。

幾重もの「ウチ」と「ソト」

 いまだに全国で続く医療機関の面会制限はこの延長であろう。

 病院関係者を「ウチ」、それ以外を「ソト」とみなし、ソトを徹底的に排除することで安心を得ようとする。

 冒頭の高木氏が京都新聞掲載の記事などで端的に言い切っているように、医療従事者が一般人と変わらない生活を送るいま、面会者だけをことさらに危険視する発想は無意味。特定の患者だけに会う面会者より、複数の患者の間を行き来する医療従事者の方が、感染リスクとしては高いだろう。しかし日本社会の思考・行動のクセを踏まえると、医療従事者はウチの人間だから感染を拡大させないけれど、ソトの人間である面会者は感染拡大を招く恐れがあるというメンタリティーは皮肉にも理解できてしまう。

 加えて田中さんの例から明らかなのは、面会を許す選別の基準にも、この世界観が入り込んでいるということだ。

 病院関係者をウチ、それ以外をソトとするだけでなく、患者の家族はウチ、それ以外はソトとする。このように、ウチとソトの境界が同心円上にいくつも作られ、脅威であるソトを排除すれば安心という面会制限の運用がなされている。加えて、面会者として病院に入れた後も、病室には入れず、ミーティングルームのみとか、面会時間10分といった関門が設けられ、面会者はそれらに縛られる。一つの神社内に複数の鳥居が設置される神社のようで、実に日本らしい。

日本特有? 海外の面会条件は

 冒頭で紹介した高木氏らの団体がウェブサイトで紹介しているが、米誌ニューズウィークによる世界の病院ランキング2024において、トップ10に入った海外の病院の面会条件が掲載されている。これら病院に、面会時間15分とか、家族に限るとかいった条件は見られない。

 他方私は、団体が掲載している病院が欧米圏であることを踏まえ、アジア圏の病院(中国〈6病院〉、韓国〈5病院〉、シンガポール〈2病院〉、台湾〈2病院〉、香港〈2病院〉)の面会条件を、各国・地域の大学病院を中心に調査をした。調査の際は、現地に住んでいる友人および、中国語や韓国語に堪能な友人の助けを借りた。

 ウェブ中心の調査であり、全数調査でもないため不十分な点はある。しかし調査の結果、日本の病院に広く見られる厳しい面会制限は、東アジア圏でも特異らしいことが見えてきた。

 例えば、2人までといった人数制限を設けている病院は、各国・地域すべてで見られるものの、15分といった制限時間を設けている病院は見つけることはできなかった。「家族のみ」といった属性に基づく制限を設けていたのは、韓国の一部の病院のみであり、それ以外は面会にこのような属性制限はかけていなかった。さらに日本の病院は、病室での面会を許さないところが多い。しかしこのような条件は少なくとも私の調査では見られず、これも日本特有の現象である可能性が高い。

 日本で当たり前となっている面会条件が他国では一般的ではない点、また文化圏として近い韓国において、日本と似た厳格な面会制限が見られるという点において、日本の病院の面会制限が文化現象であることがうかがえる。

面会制限が「スタンダード」になる前に

 面会制限の目的は感染対策とされている。現代医学を実践する病院がそれをするのであれば、その根拠は科学的合理性に基づくべきであろう。

 しかしその対策のあり方に、科学的合理性とは明らかに無関係の日本社会の思考の癖が入り込んでいる。科学的合理性のみを信奉し、それ以外のものの見方を軽蔑する発想には、文化人類学者として賛同できない。だがその思考の癖が問題を作り出している今、この対策に科学的合理性はあるのかという視点は不可欠である。

 このタイミングで変化を起こせなければ、「15分以下家族2人まで」といった面会制限は、グローバルな視点で見れば極めて特異な日本の医療施設のスタンダードとして定着してしまう可能性が高い。だからこそこの対策に対しては、変化が起きるまで冷静で合理的な批判を続けねばならない。

 またこの問題を解きほぐすためには医療従事者の視点も必要であろう。朝日新聞が実施したアンケートには、面会緩和に対する医療従事者からの反論も少数ながら寄せられている。特に注目したいのは、「コロナ前は面会者のせいで業務が妨げられることがあったが、面会制限が始まってから時間外勤務が減ったように感じる」「マナーの悪い面会者の対応に従来から苦慮し、業務に支障が出ていた」「面会制限が始まって以降、問い合わせや苦情などの増加により家族対応の時間はむしろ増えた」といったものである。

 面会という権利の制限は、感染対策がそれを上回る利点を人々にもたらすという観点から正当化されねばならない。従って、その是非が医療従事者の業務量の観点から議論されている点で、反論としては不適切だ。「感染対策」が業務量調整のための大義名分として使われるべきではない。

 しかしながら感染対策は、感染拡大防止という一点の目的によって始まったり、終結したりするものではない。これはコロナ禍の3年間で私たちすべてが経験したことだ。

 感染対策は、現場の人間関係、制度、利害、さらには社会そのものの思考の癖などを巻き込みながら展開される。我々がつい数年前に経験した歴史を踏まえるのであれば、医療従事者に上記のように吐露させてしまう業務環境とはいかなるものなのか、なぜこのような環境が作られているのか、という問いを立てることも必要であろう。それがなければこの問題は、医療従事者の道徳心のなさを糾弾するだけの精神論にとどまってしまう。

 これは言い換えれば、「医療崩壊は市民の気の緩みのせい」というコロナ禍で頻回に掲げられた精神論の反転でしかない。批判が情緒的なものにとどまりやすい点もまた、日本社会の癖の一つである。

【参考】

ウェブサイト「やめよう、病院・施設の面会制限 いつまで続けるの?」

https://www.postcovisit.com/187cd9581d2680ab8ce2c3357fb64c1e別ウインドウで開きます

 

 

 

※ コメントを付けて戴きました。嬉しさ一杯。自分では書けないんですよね。連絡できませんが、ありがとうございます。脳梗塞の症状より、めまいの方がもっと辛かったと思いました。

てくてくチョコ

2024年10月25日に日本でレビュー済み

 
表題が全て自分の症状でした。さっそく舌を10回ほど動かしてみました。すると、喉の奥の舌の感じが変わったように思いましたその夜は、寝入るときから喉の奥の圧迫感が小さくなったと感じました。それから毎日動画を見ながら、取り組み始めています。まだ、五日間ほどです。本書の最後に書かれていたように、まずは3ヶ月、コツコツと首を緩めて、舌の運動で筋肉を引き締めていこうと思います。そう思わせてくれる内容でした。ありがとうございました。

※ 変形性ヒザ関節症の本が削除されました。価格変更申請が問題だと思いますので後でまた出版したいと思います。どちらも解消まで2~3ヶ月はかかりますので、冬の今から取り組んでおいた方が良いと思います。

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