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衰退途上国の日本

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残念ながら日本は「衰退途上国」である…「温水便座、試合後のゴミ拾い」に浮かれ、「値上げ」にすぐ怒る私たち

プレジデントオンライン

※写真はイメージです – 写真=iStock.com/da-kuk

■「ソト」からホメられないとプライドが持てない卑屈な民族  朝の情報番組や夕方のニュース番組などでも「外国人が日本の素晴らしさに感動」「日本人にとっては当たり前のアレに、外国人が大注目」といった企画を作っては、日本の良さを発信し続けている。番組内のコーナーだけでなく「YOUは何しに日本へ?」「世界!ニッポン行きたい人応援団」(どちらもテレビ東京系)、「世界が驚いたニッポン! スゴ~イデスネ!!視察団」(テレビ朝日系、現在は「ニッポン視察団」)など、番組一本がまるまる、日本人の自尊心を満たすための内容でまとめられている番組すら存在する。  

「実は、日本の100円ショップのことを外国の皆さんが絶賛しているそうなんです!」などと司会者やリポーターが大袈裟にネタ振りし、出演者やガヤ連中が「えーっ!」と反応したところでCMへ……。そんな演出がお約束であるこの手の番組、私は大嫌いだ。なぜかといえば、まるで日本人が「ソト」からホメられ続けていないとプライドが持てない、卑屈で情けない民族のように思えてくるからである。  

そもそも、今や衰退国である日本のダイソーで100円のものは、海外では全く価格が違う。2021年のベストセラー『安いニッポン』(中藤玲・著/日経プレミアシリーズ)では、世界各国のダイソーで販売される商品の価格を示しているが、以下のようになっている。 ———- 日本:100円/中国:160円/台湾:180円/タイ:210円/シンガポール:160円/オーストラリア:220円/アメリカ:160円/ブラジル:150円 ———- ■日本人は値上げを許せない  もはや日本が一番安いのである! それだけ日本は安過ぎる。

要するに「100円を当たり前だと感じる貧乏人からクレームが来るのが恐ろしい」ということである。外国では「これがベースですから」で日本よりも高価格で販売できるのだが、貧乏な日本は値段が上がるのは許せないのである。  正直、ここに出てくるラインナップを見て、オーストラリアとアメリカ以外、日本の方が安いことに恥を感じないか? と私は感じた。あぁ、これらの国よりも我が祖国は貧乏人だらけで、彼らの方がむしろ経済的優位性があるのだな……と。

■アメリカ人の傲慢さと愛国心を見習うべき  私は1987年から1992年までアメリカに住んでいたが、もうウンザリするくらいアメリカ人の愛国心と自信を見せつけられてきた。  スポーツやプロレスの試合で相手国が優勢になると、途端に割れんばかりの「U.S.A.!」コールが巻き起こる――そんな光景を試合中継などで見たことがある人もいるだろう。

「何事においても、アメリカが最強で、最高!」と信じて疑わないのがアメリカ人なのだ。  私が日本に帰国することを高校の同級生に伝えた際には「ハァ~⁉ なんでアメリカみたいな素晴らしい国から出ていくの? あなたはアメリカにいるべきよ!」「アメリカにはピザがあるのよ! 日本にはないでしょ!」などとまくし立てられたものだ。  

また、パスポートを保有するアメリカ人が10%台であることに疑問を呈した時には(現在の日本も10%台)、「あのさ、お前ら日本人みたいにわざわざ外国に行かなくても、オレらにはフロリダ、カリフォルニア、ニューヨーク、テキサス、ニューオーリンズ、ラスベガス、コロラドスプリングス、ナイアガラの滝などサイコーの観光地がいくらでもあるんだよ。

なぜ海外に出なくちゃいけねぇんだよ。しかもカナダとメキシコにはパスポートなしで行けるんだぜ(当時)」と強く反論された。  アメリカ人の愛国心はたしかに鼻に付くが、「外国からどう見られようが気にしない。俺たちの国が一番だ」という揺るぎない自信は、日本人も多少見習うほうがいい。 ■「他国からの評価を愛国心の支えにする日本人は惨め」  そうしたアメリカ生活の記憶も含め、「外国人の“日本礼賛発言”を欲しがる、日本人の気持ち悪さ」について、旧知の編集者A氏と語り合ったのだが、彼は私の意見に賛同しながら、こんなことを言っていた。

 「日本礼賛番組で紹介される『外国人がウォシュレット(温水洗浄便座)に感動』とか『温かい便座に感激』なんて話、初めて聞いた時は面白いと思いましたけど、いいかげん、飽きましたよ。誰だって自国のことを海外の人からホメてもらえれば悪い気はしないだろうし、事実、日本は安全で暮らしやすい国だと思う。でも、他国からどう評価されるかを自分の愛国心の支えにしたり、外国人のリップサービスを真に受けたりする日本人が増えているのだとしたら、なんだか惨めな話ですよね」

ライター 中川 淳一郎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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